主人公の俵屋宗達も、周囲の人物も、とても魅力的に描かれています。とにかく、見てきたかのように詳しいです。そして、優しい。
もちろん見てきたわけではないのだから、想像力もずいぶん働かせていると思うけれど、作者の方は、相当な知識をお持ちなのだと思います。
一方で、知識を持たない読者に対する、気遣いも相変わらず。現代人には頭でわかっていても感覚的にわかりにくい、身分や当時の事件やイベントについても、現代人に合わせて、取り入れやすい解説をしてくれるのです。
公卿たちの事情、大きなお寺の事情など、部外者には窺い知ることのできない話も興味深いです。
物語としても、新しく登場した人物によって、平穏な生活に変化が生じ、非凡な才能をますます開花させる軌跡が、見事に描かれていて、一気に読んでしまいました。
本物を見に、久しぶりに京都に行きたくなりました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
時代物
- 感想投稿日 : 2018年3月11日
- 読了日 : 2018年3月11日
- 本棚登録日 : 2018年3月9日
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