作家として受け入れられず、パトロンのいる女性との愛も喪い自殺をしたヴァランタンの話が第一部。第二部はヴァランタンの甥が死後有名になった彼の伝記を書こうと当時の生存者にインタビューをし、第三部で甥に真実が明かされる構成。
第二部を読むと人はどこまで自分に都合よくなれるのだろうと呆れ、「そうじゃないよね!」と腹立たしくなるほど。ヴァランタンの当時の苦しみや悲しみを第一部で知っている分、真逆の姿が浮き彫りにされてゆく第二部は自分を売り込もうとする人々への皮肉に満ちて悪意すら感じてしまう。
そして第三部で真実を知った甥の取る行動はただひたすら保身。
でも第二部、第三部の人々の行動は普通の人間ならばやりかねないもので…人間の記憶のあやふやさと自己顕示欲が入り混じると恐ろしいことになるのだと教えられました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年9月28日
- 読了日 : 2016年9月28日
- 本棚登録日 : 2016年9月28日
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