坂上秋成によるゲームブランド「Key」の解説本。
私はアダルトゲームとは無縁の人生を送ってきたので、Keyの名を知ったのは「動物化するポストモダン」である。読み返していないので記憶が曖昧だが、「AIR」における父性の考察は東浩紀では...?と思いながら読んでしまう。ただし、こちらの考察の方がやや明るい、というか能天気だ。まあ、坂上秋成は当たり前のように東浩紀の言論文脈に影響を受けている筈ではある。この世代の言論人は多かれ少なかれ、賛否はあれ、東浩紀の影響を受けた筈だ。
Keyの主要作品の解説と考察なので、基本まるっとネタバレがある。しかし、本書の読者層は多分「鍵っ子」なのだろうから問題なかろう。しかしその読者層を考えたときに、若干考察が弱いというか...大体同じ結論を繰り返しているようにも見える。
結局、著者である坂上秋成自身が「鍵っ子」なので、突き放した論を張らないのだ。そういうスタンスなのであれば、もっと自身の情緒に寄せた作品の方が読み応えはあったのかもしれない。ここで記述される「考察」が、圧倒的目新しさを伴ってくるものではない以上、本書は解説にもっと寄るか、個人的な色を強めるか、で唯一無二になった気がする。
...が、「TYPE-MOONの軌跡」も出してるのか。そうなると「新書的ビジュアルノベル解説シリーズ」としてはまあ、妥当な位置にいるのだろうな、と。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年2月17日
- 読了日 : 2020年2月17日
- 本棚登録日 : 2020年2月17日
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