カモイ・ヴァラエティ (鴨居羊子コレクション)

著者 :
  • 国書刊行会 (2004年5月31日発売)
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本棚登録 : 38
感想 : 5
5

鴨居洋子という人を
今まで知らずに損してた気がした。


マルチアーティストなんていわれると
とたんに胡散臭い気がしてしまうけれど、
下着デザイナーであり、画家であり
人形を作り、フラメンコを踊り
という日々の間に書き残した
エッセイたちは、どれもやけにホントくさい。


多分、鴨居洋子という人のいた時代を
ほんとうに大人っぽい世界への憧れと
アンダーグラウンドなおどろおどろのヘビーさへの
辟易とが同居した目で、眺めているのだけれど
彼女の世界は不思議と地に足がついていて
現実の街角から、夢を見る女の子で女、の姿が見えてくる。


並ぶ言葉は、ぽっかり開いた穴に
優しく布地をあてがってくれる
世話焼きのお姉さんのような匂いがする。
今はもういない人なのに、こんなに体温まで
感じると錯覚しそうな文章を残してる。



人が去った後に
こうして、残されたものを読んで
辿ってゆけることだってあるのだなぁと思えた。
すごく遅くても、鴨居洋子という人を知って
この本を読めて、よかったと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2014年6月23日
読了日 : 2006年8月8日
本棚登録日 : 2014年6月23日

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