中島らもの雑誌連載中に急逝のため絶筆となったものを
亡くなった後に未完成のまま単行本で出版されたもの。
だから「よれよれだったのに、絶筆だからという
理由で出された本だったらどうしよう」
と思って、出てしばらくしてから読んだらいい本だった。
新宿のホテルに一人住まいする68歳になる作家、小歩危ルカの
ロックでパンクで反社会的なようでまっとうでクールでアホで…
「近未来私小説」と書かれているように、
中島らもの今までとこれからが
詰まっているような小説
らもさんはもう病気とか薬とかで、年々
「よれよれよれ」となっていってるようで
対談とか本人が喋ってる類の本を色々読んでいても
もう「イタタタタタ」と言いたくなるくらい
「こけて顔面強打した」だの「大やけどしてずるっと剥けた」だの
いう話が多くなり続けていたし
一読者としても「ホンマにもう、何してんねん」と
心配したり、それでももう冗談かどうかもワカラナイ無茶な話に
笑ってしまったりしていた。そういうあれやこれやを受け止めてくれる
周りの人にもとても恵まれていたんだろうと思う。
ご本人は「それはあれやな、オレの人柄や」と言いそうな気もしますが…
ただ色々あっても最後まで
「ヘンにまともに立派そうなこと」とか
そういうことは言わなかったから
ぐちゃぐちゃなことをしてても好きな作家だった。
それでも絶筆となった本が、内容がよれよれだったりしたら悲しい…
淋しいな~っ、と思っていたのだけれど。
かっこよかったし面白かった。
読み始めたらもう、絶筆とかそんなことも忘れて
夢中で読んでいて
途中、のはずがそこで終わっていることに
ホントに「あっ・・」と絶句した。
途中までで、もう続きが読めないのが残念。
それであんな「カッコイイじじい」になったらもさんが
見られないのも。
でも、やはり死後出版された対話集のタイトルが
「なれずもの」
「みんな何かになりたくてなられへんかったから」
という意味でのタイトルらしいけれど、
そういう人なので
途上でポッと消えてゆくさよならも
それでええねん
ということかもしれない。
- 感想投稿日 : 2014年6月9日
- 本棚登録日 : 2014年6月8日
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