超音速漂流 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2001年12月7日発売)
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感想 : 29
3

1979年の古典的航空サスペンス名作が、昨今の航空機ハイテク化に呼応して全面的加筆されたのが1998年の本作。さらに従来、トマス・ブロック単独名義とされていたものが、実は幼馴染みの小説家、ネルソン・デミルとの共著だったことも明らかに。
話は米軍極秘訓練中、ミサイルで民間航空機を誤爆した米軍幹部らの空からの事故隠蔽工作と莫大な賠償金を逃れるため航空会社と保険会社による地上からの証拠隠滅というダブルの危機的状況に最終的に対峙するのは、奇跡的に生き残ったアマチュアパイロットとスチユワーデスと少女の3人のみ。さらに機内では高度酸欠により脳の損傷で正気を失った乗客が襲いかかるという絶体絶命の状況。
これだけの苦難をどの様に乗り切るのかが本作の読みどころ。結局、一部の人間の良心と本来人間の持つ動物的本能とも言える危機察知能力が明暗を分ける。
本作は、小説でありながら、現実的に十分あり得る世界を描いているという点で、航空関係者必読の書となっている。
ちなみに、原題「メーデー(Mayday)」とは、無線電話で遭難信号を発信する時に国際的に使われる緊急用符号語。 フランス語の「ヴネ・メデ(venez m'aider)」、すなわち「助けに来て」に由来する。 一般に人命が危険にさらされているような緊急事態を知らせるのに使われ、警察、航空機の操縦士、消防士、各種交通機関などが使う。(Wikipedia)
PS.
校正ミス見つけました。誤⇒正
たが⇒だが(P275)、あたしか⇒あたしが(P376)
どちらも濁点不足という凡ミス。普通に読んでも気がつくのに校正者はなぜ気づかない?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年8月2日
読了日 : 2024年8月2日
本棚登録日 : 2024年8月2日

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