ーー1970年代のオカルトブームによって広く知られるようになった心霊現象の数々。現在では多様なメディアがこれらのアイテムを物語に取り込み、消費している。では、これらを束ねる「心霊」という解釈格子は、はたしてどこからやってきたのだろうか。
明治半ば以降、一気に広まった不思議な遊び「こっくりさん」、人々を熱狂させた催眠術、透視をめぐる論争を巻き起こした千里眼事件を掘り起こし、それらに通底していた心霊学と科学の相克を描き出す。
「信仰」「迷信」「心」と「科学」のあわいに発生して、多くの人々の耳目を引いた明治期のオカルト現象から、日本の近代化の一側面を照らす怪異研究の古典を復刊。千里眼事件の再検討や大正期の催眠術の受容、「こっくりさん」の戦後を扱った論考を増補し、東雅夫氏による解説も所収する。ーー
こっくりさんが米国生まれで(テーブル・ターニング)、明治時代には既に日本でも流行っていたことに驚いた。昭和生まれの私の時代も一時期こっくりさんが流行し、我が中学校の教室でこっくりさんをやっていた生徒が2階の窓から突然飛び降りるという事件が起こり、すぐに禁止された。その当時、つのだじろうが「恐怖新聞」「うしろの百太郎」を連載し、ユリゲラーのスプーン曲げや映画「エクソシスト」などがマスコミを騒がせていた。
また、本書では1900年代初め、御船千鶴子の透視(千里眼)、長尾郁子の念写など東大教授を巻き込んでの「超能力」ブームの経緯も解説しており、この手の話に興味のある人にはおすすめです。
とはいえ、1994年に書かれた第1部と2020年の第2部の多くは重複しており、わざわざ2つ掲載する必要性はマニアでなければ不要の産物。
また、こうした怪奇現象への著者のスタンスがイマイチわからない(商売道具として肯定派なのか現実路線で否定派なのか曖昧)のも困ります。
- 感想投稿日 : 2021年3月9日
- 読了日 : 2021年3月9日
- 本棚登録日 : 2021年3月9日
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