新聞という病 (産経セレクト)

著者 :
  • 産経新聞出版 (2019年5月29日発売)
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表題の新聞とは、ほとんどの場合、朝日と毎日です。
確かに、A新聞の反政権振りはデマでもねつ造でもOKという隣国の反日無罪を彷彿とさせるものがあります。
とはいえ本書全般を通じて、門田氏は新聞の復活を心から願っているテイをとりながら、現状のままでは不可能だということをさりげなく、しかし読めばそうなるとしか思えない不可避な現実として明らかにしています。
7章立ての本書は、捨て章なしの絶品ぞろいですが、特に6章と7章は必読です。
それにしてもA新聞がなぜこれほど日本を貶めようとしているのかという1つの回答は、「記者には日本を貶めているという意識はなく、まして中国や韓国を喜ばせるためではなく、過去の日本を糾弾することで平和を愛する自分や国家権力に勇敢に立ち向かう姿に陶酔している」としか思えないのだが、そんな小さな自己満足だけで日本の足を引っ張られてははた迷惑です。
何かといえば「言論の自由」を標榜する新聞ですが、「異論には耳を貸さず、力で踏みつぶせばいいのだという考えは許されないといいながら、自分と異なる意見や質問を無視し牙をむく姿勢、果たしてあなた方に言論の自由を守る意思はあるのですかと聞きたくなる」(P264)
そうしたA新聞の姿勢を、既にビラ活動家であり、倒閣運動家であり、ご注進ジャーナリズムでしかないと喝破しています。
また、「児童虐待死事件と嘆き記事」では、親の権利やプライバシー侵害という人権の壁や児相の職員の意欲と能力の問題という本質をみない議論を繰り返すことで、同様の事件が繰り返される愚を指摘しています。
「就活ルール廃止」では、自分たちはルールを守っているのにそれを破る企業があるから、そのルール自体を廃止する経団連、そもそも大学とは教育研究の場であって、企業の下請け機関ではないという見識をなぜ示せないのかとあきれる。
ドラマ「相棒」で薬物依存症の女性が殺人をおかすシーンがあったのだが、A新聞は「中毒患者への差別を助長するもの」とし、精神的な病を抱えた障害者で、依存症の人に対する差別意識だけを高めることになると批判した。覚せい剤は禁止薬物で犯罪であり、暴力団の資金源ともなり、覚せい剤の恐怖の実態をドラマ化しただけで、「差別だ」と抗議する歪んだ正義、独りよがりな人権意識を笑っています。
このように門田氏は終始激昂することなく、穏やかな書きっぷりですが、言うべきことはきちんと表現している匠の技をぜひ堪能してください。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年8月11日
読了日 : 2019年8月11日
本棚登録日 : 2019年8月11日

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