断言2 あなたを変える本・世界を変える本 新教養主義書評集成 サイエンス・テクノロジー編 (ele-king books)

著者 :
  • Pヴァイン (2020年12月23日発売)
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感想 : 7
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あまり期待せず読んだが、これはかなりいい。
まず著者の書評に対する姿勢に共感できる。いいところは褒め、悪いところは腐す、その判断基準もきちんと説明されており誠実。読後、「断言1」をすっ飛ばしたのが悔やまれました。
まず、駄本として、「人脈づくりの科学」安田雪著。「人間関係を研究しているのに、コミュニケーション能力が皆無」「1文づつ段落変え、しかもつながりのない文章の羅列」「具体例を挙げるといいながら、出てくるのは例えばなし」「説明不足多数」そして、断定する。「バカかね」
茂木健一郎「脳とクオリア」では、「何か実証されたわけでもなく、理論的なフレームが明確になるわけでもない。前の方で仮説だったものが、後半ではいつのまにか確立した原理扱いされるなど著者の根拠のない勝手な思いつきぶりは健在」ケンタウルス像を見て「私に語り掛けてくるものは何だろう。残念ながら、私は言葉にすることができない」という言葉には激怒。「ものを書く人間が言葉にできない、とか嬉しそうに言ってんじゃねえ。何で「脳と心」の本で、こんな駄作文を読ませられなきゃならないんだ」はもっともです。確かに、読んだことを後悔する本がありますよね。ダメ出しの「コメント」もさえてます。
本当に気持ちのいいくらいの書きっぷりですよね。
一方、ピンカー「人間の本性を考える」では、社会に蔓延している暴力や男女格差への「世間の常識」への批判の数々は一々うなづけます。
また、他者の書評なのに、さりげなく竹内久美子(トンデモ本代表)や養老孟司(「バカの壁」なるものの正体は当人の説明能力不足)、中野信子(大平健訳「フロイト 新訳夢判断」を新聞書評でヨイショがすぎる謎を指摘)をなどを織り込んでくる確信犯振りも高評価です。
さらに、東大後輩の書いた本では、「研究室も予算がきつくて云々という話が出てくるが、たかだか数百万円くらいならOBを頼りなさい。エンジニアは技術だけ見てればいいわけじゃない。プロジェクトをプレゼンして人を説得してお金を集めるのも大事な技能だよ」と先輩の優しさもみせます。
書評は、最低限の基本情報とあとは料理人の腕次第。久々においしい料理を堪能させていただきました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年3月17日
読了日 : 2021年3月17日
本棚登録日 : 2021年3月17日

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