風味絶佳

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本棚登録 : 1912
レビュー : 390
著者 :
DIVEさん 絶望再生!   読み終わった 

甘くとろけるもんは女の子だけじゃないんだから―
肉体の技術をなりわいとする男と、それに惹かれる女の心境を綴った短編6篇。


山田詠美の描く女性はとても柔らかい。そしてイヤラシイ。
触れるとぐにゃりとカタチを変えてしまう、とてもとても脆いものに感じる。

二人の恋人と、職場の同僚との間を泳ぐ鳶職の男。
「間食」

清掃職員に料理という手段で最大の愛情と感謝を注ぐ女。
「夕餉」

同僚への恋心と、70過ぎても現役の祖母を持つガソリンスタンドで働く男。
「風味絶佳」

初恋をやり直す引越し作業員と母親とを見守る娘。
「海の庭」

スナックで働く女と出会い、結婚する汚水処理作業員の男。
「アトリエ」

葬儀場で働く父親と、大学時代の想い人との結婚に戸惑う男と、その妹。
「春眠」


どれもが、ゆったりとした時間の中で語られ、普遍的で、ドラマティックだ。
「」(カギ括弧)の外で、語り手の主観で節々に綴られている自分や相手の言葉が、その場の空気にピッタリと吸いつくように存在し、そしてそれは絶大な表現力で、時には相手の女性の匂いさえもが漂ってくるような錯覚を与える。

甘ったるくて、寄り添い、抱き合う感触。
ピリッとして、突き放つ、痛々しい刺激。

女の子はまさにシュガーとスパイス。
そのどちらもが効き過ぎる。

省みる景色は風味絶佳。そしてきっとこれからも。


山田詠美、その他の著書

・放課後の音符
・トラッシュ
・ぼくは勉強ができない

などなど。

レビュー投稿日
2011年3月30日
読了日
-
本棚登録日
2011年3月30日
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