負けんな、ヤルキキャンプ

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年12月21日発売)
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震災後の陸前高田でボランティアをやっていたところへ支援者から、余りにも悲惨なキャンプ生活環境に見かねて「河川敷に小屋を建てましょう。自分たちで建てられますよね。ともかく部材を手配します。」というありがたい申し出。それが間違い?の始まり。送られてきた図面を見ると本格的な家。

そこから素人集団によるドタバタ建築作業が始まる。その様子を支援者集めも兼ねたブログを書き始めたものを書籍化したものだ。ボランティアの為の宿泊施設と言いながらも、前向きな建設プロジェクトでもあり地元の復興のためにもなるといつの間にか大人気になったもの。

著者はNYCで日系テレビ局ADをしていた時に震災の報道を機に帰国し、現地取材TVチームに加わったものの、被災者にカメラを向けることが出来ず挫折。幼馴染が陸前高田でボランティアをしているのを知り一緒に参加することになった先が「復興の湯」。そこは地元の被災者かつスパルタ親父が切り盛りする体育会系ノリの想像以上の苛酷な労働環境。で被災者達と二ヶ月を過ごす。そこで地元被災者でありながらボランティアをする仲間とも知り合う。そして「復興の湯」の苛酷な労働からスパルタ親父の息子(当然彼も被災者)ともども解放されたことを契機に、河原で悲惨ではあるが気ままなキャンプ生活をしながら地元住民の要望を受けボランティア活動を開始。しかし河川敷の生活は地元民にも不審がられ、身元を明らかにするためにと付けた名前が「ヤルキキャンプ」。メンバーは著者、被災者ののりさん、熱発、東京の学生。のりさんの拾ってきたユンボ、地元の高校生など一癖も二癖もある連中ばかり。

ドタバタお笑い物語とも読めるけど本当は長期間にわたる支援ボランティアの実態もそこにはを覗き見る事ができる。やる気だけではボランティアは続かない。まずは先立つもの、即ち生活の為の金が必要。ボランティアを続ける為に出稼ぎで金を稼ぎに行くなんてのは本末転倒のような気もする。また現地での復興支援と言っても彼らは支援者から手に入れたユンボなどの重機で、営利目的の企業顔負けの作業をしているのだが、何処に金を貰う仕事とボランティアの仕切りがあるのかも曖昧であるが故に彼らは悩むのだ。

残念ながら家が完成したことで目前の目的が失われ、彼らは逆にこうした矛盾に更に直面してしまい遂には解散となるようだ。ブログを見ると当初の1月始めの帰宅予定が少し伸びているようだが、著者が一旦その場を離れるのは間違いないようだ。一方で、やる気キャンプの隣にはビデオショップも出来、違った形で継続する仲間もいるようだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2012年1月12日
読了日 : 2012年1月12日
本棚登録日 : 2012年1月7日

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