上下巻合わせて1200ページ余りながら、不思議な物語と精神論・宗教論が混ざり合い、非常に難解な物語でした。
読み進めることが、まさにタイトルのごとく「魔の山」を登ることのようでした。。。
と冗談はさておき、
本書は、主人公ハンス・カストルプの結核を中心に、病気という面から「生と死」の考察と、サナトリウムという療養所のある平地と隔離された街を「時間」の考察という、2つの大きな主題から成り立ちます。
主人公のハンス・カストルプは、優柔不断というか、自己主張の少ない青年で、従兄弟のヨーアヒムを見舞うために、3週間の予定でサナトリウムを訪れます。しかし、サナトリウムで結核と診断され、長期療養を言い渡されるも、主人公のハンスはそれほど抵抗なく、療養を受け入れます。そして、時間的に孤立した療養所に留まることになるのです。
病気が人生観を変えたという話は、聞いたことがあると思います。病気は生と死の中間にあるものとも言えますが、病気は生の方向を良くも悪くも修正できる力をもつものなのかもしれません。
もう一つの主題である「時間」についてですが、この時間の魔術は、私達の時代でも容易に想像できるものなのではないでしょうか。普段の社会生活の中でも、時代の潮流に乗れていないと感じたり、世のトレンドとは無縁なコミュニティしか持ち合わせていなかったりと。。。
ある種、ゲーテとは異なる教養小説。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2011年11月5日
- 読了日 : 2011年11月5日
- 本棚登録日 : 2011年11月5日
みんなの感想をみる