野心のすすめ (講談社現代新書)

3.46
  • (164)
  • (461)
  • (527)
  • (128)
  • (32)
本棚登録 : 3845
レビュー : 586
著者 :
anironweedさん  未設定  読み終わった 

自分がどういう人間として生きたいかを真剣に考える、最後のひと押しをしてくれた一冊。
前輪の野心と後輪の努力がうまく回りはじめ、神様が「合格!」と認めてくれたとき、今度は人智を越えたところで、運という大車輪が回転し始める。
野心を持って生きることについて、理解しやすい指南書です。

本書のテーマとは別のところで、
p151「エッセイは、何かあるとすぐにパッと反応して、花火を上げて、花を開かせる反射神経が必要です。しかし、作家の場合は、開花時期を見計らいながらずっと土壌に入れたまま、人には見せずに隠しておく、ねっとりした暗さがつきまとう。」
という、エッセイと小説を書くうえでの心理状況の対比の記述が興味深かった。

というのは、「この人は、エッセイストとしては、こういうカッコいいことを言わずにはいられないんだなぁ」と思ったから(笑)
クールに澄ましたポーズを取っている林真理子が目に浮かんでおもしろかったから。
カッコいいじゃないですか。
いかにも、野心を飼って生きてきた女です。

第三章までは、筆者の人生にもとづいた強力な説得力がある野心を持つすすめ。
しかし、第四章五章は、上記のエッセイストとしてのカッコつけが全面に押し出されてきて、正直言うとウザイです(笑)
私は、林真理子さんの全盛期時代を知る世代ではないので、彼女へのバッシングがどれほどのものであったかは知りませんが、叩かれたとしたらこういうところだったんだろうなぁ、と思いました(笑)

でも、私は、この人、この女性、好きです。
本人はバリバリクールなつもりなのかもしれませんが、一生クールになりきれないであろう泥臭さが、エネルギーを感じさせる。(前者含めて、この人の売り、戦略なんだろうなぁと思います笑)

優しくない、自分のことばかりに必死で、若手を成長させる器量のないオジサンオバサンばかりになってしまったこの日本で、若者に、女に、「青年よ、女よ、大志を抱け」と真っ直ぐに言ってくれるとてもカッコいいオバサンだと思いました。

p101の自画自賛に、林真理子さんが成功者である理由が詰まっている気がします。
「私は、人一倍の野心と人の二倍以上の意地悪さは持っていますが、いまも昔も狡猾さとだけは縁遠い人間です。」

私が「カッコいい」と直球で感じる成功者たちは、いつもみんな、心の美しさを最後まで失くせなかったんだろうな、と思わせる方たちです。
「人間」を感じさせる。「人生への愛」を感じさせる。その人に関する何かしらに触れると、こちらの心も踊る。

この人も、ぜったい、いい人なんだろうなぁ。

レビュー投稿日
2015年2月17日
読了日
2015年2月17日
本棚登録日
2015年2月17日
2
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『野心のすすめ (講談社現代新書)』のレビューをもっとみる

『野心のすすめ (講談社現代新書)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

いいね!してくれた人

ツイートする