
ある日殺害された中年男性。その事件の謎を探るうち、浮かび上がる過去の事件。夫を亡くした妻、愛人を亡くした女性、子供を亡くした女性、それぞれの悲哀を描きながら綴られる物語は、とにかく嫌な雰囲気がいっぱいです。もうタイトルからして鬱陶しいこと鬱陶しいこと!
というのも。そりゃあ大切な人が殺されて悲しいのは当たり前なのですが。どの人も「いちばん悲しいのは私なのに」という自己憐憫が過剰すぎて、「可哀想な自分」に酔っているだけなのにいらっとします。「妄想ちゃん」のキャラもあまりに強烈。悪いけど、ぜんっぜん可哀想に思えません。
そんな中で徐々に明らかになる事件の真相は、これはもう予想だにできなくって、いい意味で愕然。ただ、この事件を引き起こしてしまったあの人の行動は、どうも責める気になれないなあ。もちろん正しい行動ではないけれど。もっとも自分を見失わずに、大切なものを守るために起こした行動だと思えるからかもしれません。
- レビュー投稿日
- 2017年5月17日
- 読了日
- 2017年5月17日
- 本棚登録日
- 2017年5月17日
『いちばん悲しい』のレビューへのコメント
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