二人の人間を殺害し、しかし反省の様子もなく人を食った態度と笑顔で世間を騒がせる「クズ男」。彼の弁護を引き受けた弁護士が彼の証言に疑念を覚え、真相を究明するために証人を探すうち、思いがけない物語が現れてくるミステリ。
クズ男とは言い得て妙。最初のうち、とにかく彼の軽すぎるノリにむかつくことと言ったら! だけどそれにたらされてしまう人も少なくはないんだろうなあ、という妙な魅力もないではありませんね。その魅力的にも思える外面がすべて見せかけの態度にも見えて、逆に彼が本当は何者なのか、ってのは気になって仕方がなく。ぐいぐいと一気読みです。
と、これ以上はネタバレになりそうなので語れませんが。あまりにも切なく思えたこの物語は、誰かに愛されたかった人たちの悲劇だったのかなあ、と。悲惨な環境であれ恵まれた環境であれ、その部分は共通している気がしました。彼と彼女、どちらが幸せな人生といえたのか。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリ
- 感想投稿日 : 2019年11月26日
- 読了日 : 2019年11月26日
- 本棚登録日 : 2019年11月26日
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