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ハレルヤオーバードライブ! 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
- 高田康太郎
- 小学館 / 2009年11月12日発売
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さよならピアノソナタ 1 (電撃コミックス)
- 杉井光
- アスキー・メディアワークス / 2011年7月27日発売
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はつきあい(2)(完) (ガンガンコミックスJOKER)
- カザマ・アヤミ
- スクウェア・エニックス / 2011年5月21日発売
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帯に太字ゴシックで「キュン」とあったが、まさにその通り最初から最後まで悶絶必至であり、ニヤニヤを堪えることはほぼ不可能であり、厭世的な気分の時に読んだら思わず自殺くらいしかねないほど、恥ずかしくて甘々で、可愛らしい作品が詰まっているオムニバスである。
前巻でも二話を使い、今回もメインを一話もらった莉乃さんところのカップルは何と言っても莉乃の造形が良い。さっぱりした性格で、物言いも紋切り型でいかにも恋愛からほど遠く、本人も苦手だと意識している彼女が、彼に初めてのメールを送ろうと悶々とするお話なのだけど、自分の気持ちをコントロール出来ず、それが棘のある言動になってしまう彼女が可愛いというか、その棘が恥ずかしさ故だというのを理解していたり、弁解できたりしている姿に全巻より進歩した二人が垣間見える。
やっぱり恋愛は苦手だと感じながら、それでもと行き着いた答えには思わずキュン! である。
ほぼ小学生であるロリっこと付き合い始めた高校生のお話もよい。「好き」という気持ちが勇気をくれて、それ故にしっかり言葉に出来た彼女の姿にやはりキュン……。このほかにも甘酸っぱくお話が満載なので、潤いが欲しい方には是非是非お勧めしたい。
2011年5月27日
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恋愛ディストーション 3 (サンデーGXコミックス)
- 犬上すくね
- 小学館 / 2011年5月19日発売
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これまでの巻とは違い、大前田・江戸川の両カップルよりもその周囲の人々を描いたエピソードが増えている。その為か、物語に広がりが出ていて、これはこれで嬉しい。
江戸川くんのライバル? として、彼をメタメタにやっつけた有元さんだけど、彼女の過去が描かれるエピソードでは可愛らしい、でもちょっとスレた高校生としての姿が見られ、新鮮だった。そんな彼女のおそらくは初恋の物語は切なくかった。でも、彼がいたから今の彼女がいるんだと、だから、あの屋上での時間も、彼が取った馬鹿な行動も無駄じゃなかったと思わせてくれる最後のシーンがとても良い。
ゆかり先輩の「太っ腹な彼氏」のお話も必見。これはもうひたすらにゆかり先輩が可愛い。ベッドの上でつんつんするシーン(全くエロスは感じません)はこの巻随一の萌えシーンと言って良い。太っ腹と言うより腹がデカいだけの私は、何とか太っ腹になろうと改心した次第。
その他、「チャームの魔法」は自分にも思い当たる節があり、思わずニヤニヤしてしまった。いや、普段と同じなのに何故か恋人が異様に可愛く見えるときってありますよね?
そして山野辺くんが可哀想です(´・ω・`)。
2011年6月15日
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恋愛ディストーション 2 (サンデーGXコミックス)
- 犬上すくね
- 小学館 / 2011年4月19日発売
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何と言っても二話目の帰省イベントが素晴らしい。犬気質で気が強いなつめに押されっぱなしの大前田の相変わらずのヘタレっぷりと、土壇場で見せた男前な姿とのギャップにメロメロにならざるを得ない。そんないつもと違う彼氏の姿に、ちょっとだけ素直になれたなつめのお願いと当日の様子が実に微笑ましくて良いというか、俺も彼女と一緒に新幹線で帰省とかしてみたいでふ。
が、そんな私に現実を突きつけるような山野辺くんのお話が胸にいたいというか、始まる前に終わっちゃった恋って辛いよなというか、何だかんだでイケメンな大前田くんに嫉妬というか、そんな感じ。
その他、印象に残ったのは高校時代、大前田がなつめのことを目で追いかけるお話。おそらくはものすごく美人というわけではないし、派手なものを身につけているわけではないなつめだけど、どうしてか目で追ってしまう。それがどんな感情からくる行為なのか考えもせず、ただ彼女と彼女が纏った色とを自分の中に積み重ねていく大前田くんの初々しさに己の高校時代を思い返したりした。
や、もう大前田・なつめカップルが好きすぎてまともに評価できないのですが、とにかく恋愛漫画好きにはお勧めです。
2011年6月14日
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一千一秒の日々 (角川文庫)
- 島本理生
- KADOKAWA / 2009年2月8日発売
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一言でまとめるならば、さらっと読めるライトな恋愛小説という事になるだろうか。しかし、ライトというのはあくまで語り口、あるいは口当たりがということであって、恋の中身と言えば必ずしも「軽い」とはいえないケースばかりだったりする。
一番印象に残ったのは『青い夜、緑のフェンス』。体重100kg超の針谷と彼に思いを寄せる美少女、一紗の物語。僕自身も夏が一番苦手なくらいにはBMI値が高いのだけど、流石に100kg超ともなれば想像もつかないレベルにある。僕でも体型へのコンプレックスはそれなりに感じるだけに彼の引け目も理解できるし、一紗が美少女だから尚更……というのも分かる。だけど、行きすぎた自嘲は自分だけでなく自分を大切に思ってくれる人も傷つける。そのことでぶつかった後、それでも彼の元を訪れた一紗とその後の針谷くんの行動、彼が至った心境には自分のことのようにほっと安心してしまった。こういう関係って良いなと素直に思えた。
もう一つ良いなと思ったのが『新しい旅の終わりに』。これはこの作品だけ取りだして中高生向けのアンソロジーに入れたいほどの傑作。加納くんのイケメンっぷりと初々しい二人の姿に思わずキュンとしてしまう連作短編を締めるにふさわしい一編だと思う。
薄いし安いし面白い。中高生に是非手にとって欲しいなと思う一冊であります。
2011年6月2日
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恋愛ディストーション 1 (サンデーGXコミックス)
- 犬上すくね
- 小学館 / 2011年3月18日発売
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『はつきあい』が中高生の恋だとしたら、こちらは大学生の恋だ。相手が好きで好きでどうしたらいいか分からない! という気持ちから、だんだんと相手を知り自分を知り、恋を知りちょっと大人になった男の子と女の子。そんな彼氏彼女の関係を描いたのが本作だ。
ちょっとだけ大人になった恋、なんて書いておいて、本作の冒頭では主人公カップルがいきなり2週間も口をきいていないという状況が描かれており、思わずずっこけてしまいそうだけども、だけど、「ただただ相手のことを」という無闇な一途さからちょっと「我」が入ってくる辺りが、その「我」を相手が受け入れてくれるんじゃないか、受け入れて欲しいという期待或いは願望を持ってしまう辺りが成長……と言って良いのか分からないけれど、窮屈じゃない距離感を掴みかけている分「大人」なのかなと思う。
とはいえ、すぐに仲直りしていちゃいちゃしてしまうのだから、その辺りはもう「はつきあい」同様の甘々である。
個人的には大前田くんが棗さん大好きで「ドッグ」とまで言われている様がとても可愛らしくて好き。特に酔ったなつめさんと大前田くんがじゃれ合う回や、なつめさんの「犬の飼い方」講座、ちょっとした「冒険」のお話はニヤニヤしっぱなしで、満腹になりながら堪能しました。
2011年5月28日
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俺の妹がこんなに可愛いわけがない(8) (電撃文庫)
- 伏見つかさ
- KADOKAWA / 2011年5月10日発売
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前作ラストでの衝撃的な出来事を乗り越え、本作では主人公と黒猫の日常が主に描かれる。当初の硬派でイケメンだった印象はどこへやら、まとめサイトで晒され、後輩とのHシーンまでのエンカウント数を数え始めるなど順調にオタとして成長、人間として退化していく京介氏が何気に全方位へモテていることに読者は腹を立てて良いだろう。あやせくらい俺のために残しておきなさい。
しかし、そんな読者も中盤以降の急展開には度肝を抜かれるに違いないというか、私は抜かれました。度肝。
そこから先、普段は助けてもらう側だった彼女が、一転、助ける側に回ったときの頼もしさと言ったら無かった。今まではそんなに好意的に見たことがないキャラクターだったけれど、本作では一変、本音を漏らすと同時に株を爆上げして来ている。特に挿絵まで用意されたあのシーンは本シリーズ屈指の名場面と言っていいだろう。なるほど、これだったら俺も惚れかねん。
「戦略的撤退」に終わった一連の騒動だけど、次巻からはどういった方向に物語が進んでいくのか、沙織の出番はあるのか、地味子は地味なままで終わってしまうのか、あやせは言葉様化するのか、興味は尽きないところである。
2011年5月14日
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密閉教室 (講談社文庫 の 7-1)
- 法月綸太郎
- 講談社 / 1991年9月1日発売
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ガムテープで目張りされた教室の中死んだ一人の生徒、血痕が飛び散った教室内からは、しかし、何故かすべての机と椅子が運び出されていた。果たして彼の死は自殺か他殺か、また机と椅子はどうして運び出されていたのか。
読み始めて最初の関門は主人公である高校生、工藤順也の行動や心情吐露について行けるかだろう。本作がデビュー作なだけあって、肩に力が入っている感があり、その為か彼の行動も過剰に気障な感があり、一介の高校生がハードボイルド探偵のような空気を纏っていることに最初は戸惑いを覚えたのも事実だ。
しかし、それさえ越えてしまえば本作は実に素晴らしいミステリだと思わされる。現れた真相は驚きと同時に謎への整合性が確かにある。推理対決の枠を越えた教師と生徒の対決にも緊張感があり、ここまででもこの作品は十分に名作となり得た。
が、その先、目眩がするような二転三転するロジックには更に興奮した。そして、コーダを読むに至って当初戸惑いを覚えた工藤のキャラクターがこうでないといけなかったことを知るのだ。
本作はミステリの傑作であり、青春小説の傑作である。これからも読み継がれていきたいと思える作品なのだ。
2011年5月6日
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隣の彼方 (マーガレットコミックス)
- 香魚子
- 集英社 / 2010年11月25日発売
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思春期の女性を主人公にした四作品が収録された短編集。この作者の特徴として身近な少女たちを主人公に据えていることが挙げられる。いわゆる「少女漫画」的な「ドジだけど明るい」とか「引っ込み思案だけど可愛い」といった「記号的」なキャラクターではなく、その辺りにいそうな、ちょっと弱くて、汚いところも持っていて、傲慢さもあり我が儘でもあるけれど、それでも愛しさを感じられるような、そんな少女たちを描くことが多い、そんな風に感じる。
そして、この作品集におけるもう一つの特徴は失われた——あるいは失われそうになる何かを巡る話が綴られているということだ。一話目は世界の終わりを告げられた少女の物語。二話目は三人の少女たちのバレンタインを巡る友情の物語。三話目は幼なじみだった男の子を巡るお話。そして、最終話は交換日記をしていた二人の少女のお話。
或いは失われ、或いは取り戻される何かを描くそのペンは細く、繊細そのものだ。
収録作の中にはいささか予定調和的なものもあって、もう少し突き抜けてくれてもと思う部分がないではなかったが、下手に触れると壊れそうな素材をきっちりと描ききったという点は十分に評価して良いと思う。
2011年5月2日
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O/A (2) (角川コミックス・エース 216-5)
- 渡会けいじ
- 角川書店(角川グループパブリッシング) / 2010年9月4日発売
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アイドルと売れない芸人、声が同じだった二人が二人一役でラジオ番組を始めることになって……というO/Aの二巻目。
所属事務所は倒産、社長は夜逃げ、残った借金は事務所のトップアイドルだったゆたかの双肩に、しかしスキャンダルで仕事も減って……というかなり厳しい展開からのスタートだけど、暗い気持ちにならないのはゆたかの負けん気の強さと、相方はるみの優しさのおかげかなと思う。ラジオ本番での暴走や無茶ぶりは別にして、私生活ではほんと気のつく良い子なんだ、彼女は。
とにかく、ゆたかのイケメンさ(女の子だけどね)とはるみの癒しパワーでニヤニヤするのが本作の楽しみ方だと思う……けれど、エロゲキャラみたいなスタッフが変なフラグを立てたようで、そっちの方もちょっとドキドキしてしまう。次巻も楽しみ。
2011年4月26日
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聖グリセルダ学院の事情 (小学館ルルル文庫 あ 2-13)
- 鮎川はぎの
- 小学館 / 2011年1月26日発売
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暗殺者と言えば沈着冷静、普段は虫も殺さぬような顔をして一般社会に紛れ込んでいる……などという姿を想像してしまうが、ヒロインのティエサはそこからほど遠い。何しろ覆面を付けるのが当たり前の生活だったので、髪で顔を隠さないと前も向けないし、廊下の真ん中を歩くなんてとんでもない。
一般者ぶろうとしても、身振りや反射神経は一流暗殺者のソレ、なにやらおっかないキアス王子には怪しまれまくり、そんな中まるで暗殺者に殺されたような死体まで出てくるのだから、たまらない。早速怪しまれたティエサは涙目になりながら汚名返上のため、捜査を開始しワルツを踊る! な作品。
とにかくヒロインのわたわたぶりと、王子マジ王子と言いたくなる、キアスくんのイケメンぶりを楽しむ作品と言える。司法や教師たちが気づかぬ真相に一般生徒があっさりたどり着くのは……と思ったけれど、ティエサの回りに「一般」生徒は一人もいないので無問題だった! 直向きに頑張る内気ヒロイン(特技:暗殺術)を応援したいと思うあなたにお勧めしたい本です。
2011年4月23日
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放課後探偵団 (書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー) (創元推理文庫)
- 相沢沙呼
- 東京創元社 / 2010年11月28日発売
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アンソロジーの楽しみというのは、プチサイズお菓子の詰め合わせを食べる楽しみに似ているかも知れない。いろんなお菓子を一口食べて、美味しかったら大きいものも買おうかな、なんて思ったりして。
ひとつも美味しいのがないのは大変困るが、全部が全部美味しすぎるというのも困る。そして、本アンソロジーは実に困ったものなのだ。もちろん、後者の意味で。
学園もので日常の謎で、ちょっと恋なんか絡んじゃったりしたら面白くないはずがなく、更にそこまで縛りを入れても五者五様の味を見せてくれるのだから、参る。
どれが一番というのはとても難しいのだけど、個人的には「ボールが一個無い」という「日常の謎の中の日常の謎」と言いたくなるような謎や伏線の綺麗さ、展開する論理の楽しさ、ラストシーンの印象が相まって鵜林伸也さんの『ボールがない』を推したい。その鵜林さんは長編デビューを控えた身とのことで、その長編が今から楽しみでならない。でも、また太ってしまうんだろうな。積ん読書庫が。
2011年4月19日
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シトラス 1 (マーガレットコミックス)
- 香魚子
- 集英社 / 2011年3月25日発売
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「自分なんか」そんな風に思ってしまうのは大人も子供も一緒だと思う。でも、ある程度歳を取ってくると「誰しもがそうなんだ」ということに気づく。ただ、子供は特に思春期の少年・少女はそれに気づかない。クラスメートを完璧だと思ってしまい、自分を省みて落ち込む、涙する。そんな少女たちに「そんなことないんだよ」と「誰だって悔しい思いを抱えていたり、傷ついたりしてるんだよ」と語りかけるのがこの作品だ。
表紙にもなっている志保のストーリーはとにかく痛い。一番かけられたくない言葉をかけられた彼女の痛みは、我がことのように僕の胸を締め付ける。だけど、彼女には彼女の良さがある。彼女はそれと意識していないかもしれないけれど、それは凄いことだ。傷つけた方の人物だって、決して「完璧」じゃない。自らの傷に痛み、挫折に苦しみそれを他人にぶつける姿が完璧なはずがない。
でも、それで良いんだ。彼女たちは子供で、大人にだって完璧な人はそうはいない。痛みや情けなさ、涙を抱えて歩く彼女たちの姿は僕たちに確かな勇気と暖かさを与えてくれる
2011年4月11日
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“菜々子さん”の戯曲 Nの悲劇と縛られた僕 (角川スニーカー文庫 226-1)
- 高木敦史
- 角川書店(角川グループパブリッシング) / 2010年8月31日発売
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この作品にとっての幸運はこの絵師さんがついてくれたことだと思う。それによって「菜々子さん」の魅力は何倍にも跳ね上がっており、それがこの作品の評価を上げることにも繋がっている。特に175Pと219P、255Pの挿絵は秀逸の一言で彼女の魅力である「陰険」で「一途」で「頑張り屋」なところが見事に表現されている。
物語はミステリ調で「事故」は「事件」だったのではという菜々子さんの語りが騙りではないか、彼女が真犯人ではないかと主人公が考える過程はぞくぞくさせられた。やや論理が飛躍してないかなと思う部分もあるけれど、気になるほどではなかった。
そして、真相には思わず膝を打った……と同時に菜々子さんへの好感度が突き抜けるのを感じた。複雑な脚本を練るだけの知性があり、その通りに人物を動かさんとする意志の力もあり、機転も利き、判断力も度胸も一級のものを備えているのに、肝心要なところで絶対的に「間違って」しまっている。それも全力で。それを愛らしいと思ってしまう辺り、僕は手遅れかもしれません。
2011年4月11日
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パパのいうことを聞きなさい! 1 (スーパーダッシュ文庫)
- 松智洋
- 集英社 / 2009年12月25日発売
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親と言うにはやや若い男性と「子ども」の殻から少し頭を出しつつある思春期の子を含めた女の子三人の同居もの。それも手に手を取って「家族」を作ろうとするホームドラマとなれば、これは琴線に触れまくりである。誰の? 俺の!
とはいえ、六畳一間に女の子三人(それもみんな美少女!)と同居だなんて、うらやまけしからんことはそうそう楽ではなく色々と問題に突き当たることになる。それを乗り越えようと努力する主人公だったが、ある「現実」を突きつけられて……とストーリーはなかなか良い。
が、読んでいる間中ずっと「あること」が気になっていて、主人公が必死に頑張ってるのは「それ」に関することだったりするので、かなり引っかかった。もっとすれ違う描写を入れた方がそれをカバーできたんじゃないかと思う。「それ」について話そうとするおばさんから「三人を取り上げられる」と思って逃げ回る主人公、みたいな形で。次巻から本番だろうから期待したい。
2011年4月10日