
犯罪に理由なんてものは無い。
そんなようなことを、わたしの師のひとりはよく論じているのですけれども、MWを読んでいるとその点について妙に頷かせられますね。
結城は、別に人類を滅亡させるのに理由はない。もうすぐ死に行く自分と心中させたら愉快だ。そんなような動機であれだけのことをしてのけるんです。一見、これはそれこそMWによる異常とみることだってできるのですが、案外MWを吸っていないわたしたちの中に、恐ろしい奇想天外な事件を起こす人も存在するので、あり得ないと一蹴するどころか、まさに有り得る脅威とみなすべきなのかもしれないです。
ところで、話は変わりますが賀来神父が死んだシーンで、結城がはじめて心から(だと思いますが、彼だから演技かもしれないですね)泣いています。その後の展開を考えると、どこまでも救いがないのですが、それだけにこの場面が余計際立っているんです。果たして、結城が賀来を全く本気で好いていたのかは分からず仕舞いですが、やつも取り乱すことがあるんだな、とほくそ笑んでいただければ幸いです。
- レビュー投稿日
- 2013年8月25日
- 読了日
- 2013年7月29日
- 本棚登録日
- 2013年7月29日
『MW (2) (小学館文庫)』のレビューへのコメント
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