8月15日の東アジアに何が起きていたかをテーマにした、ありそうでなかった本。
この本を読んでまず思うのが、現代の日本人の認識する「日本」と太平洋戦争時の「大日本帝国」の地理的概念が大きくかけ離れていることだ。終戦時点でさえ朝鮮・台湾・樺太・千島などは明確に日本領土で、満洲や中国華北、インドネシアにおいても実質的に日本が統治をおこなっていた場所が存在するのであり、その各所に「終戦」が存在する。そしてその内情は百種百様であり、「終戦」という一言だけでは到底片付けえない多彩さがある。
敗戦する側が多種多様であれば、勝った側も多種多様である。ポツダム宣言に関するアメリカ・中華民国・ソ連のグダグダとしか言えない駆け引きは「本当に連合国勝ったのか…?」と思わず疑ってしまう。特にソ連・中国共産党の火事場泥棒ぶりはものすごい。アメリカはトルーマンの無能をあげつらっているが、その前のFDRがそもそも無茶苦茶だったのも原因としてあると思う(そこに文面を割くと脱線しかねないので書かなかったのだろうが)。
そして戦勝・敗戦側両者に一番翻弄されるのが現地民であるということをこの本は鋭く指摘する。日本統治が絶対的に良かったは議論が分かれるところだろうが、少なくとも中国国民党とソ連よりは相対的には良かっただろう。朝鮮の混乱、台湾の収奪、満洲の抑留・・・後々日本に対する感情が分かれていく根本もここにあると思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年8月18日
- 読了日 : 2024年8月18日
- 本棚登録日 : 2024年8月18日
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