昭和天皇がその治世においてどのような立ち位置であったかを分析した本。発行された年代や著者の世代を考えると、概ね冷静に昭和天皇について観察された書籍であると思う。戦争で政治的基盤が失われ、高度成長で社会的基盤が失われたという考察は興味深い。
皇室や戦前戦中政治史本の場合、どうしても一次資料が乏しくなるのは避けて通れない道(特に戦中は一部の日記・回想録に頼らざるを得ない)だが、この本に関しては乏しい資料の中から一つ一つ丁寧に引用し、考察を行うことで薄っぺらいものにならずに済んでいる。特にGHQによる天皇制維持に関する考察は非常に読み応えがあった。
一次資料の乏しさからか知っている話も多かったが、新たに得た知見で印象深かったのは高松宮がかなりのお調子者であると昭和天皇やその側近がが見ていたことかな。高松宮側から見た書籍と比べると随分その人物像に差が出るね。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年10月25日
- 読了日 : 2023年10月25日
- 本棚登録日 : 2023年10月25日
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