雪と珊瑚と

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年4月28日発売)
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本棚登録 : 2088
感想 : 393
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働く女性、子供のいる女性、日々の生活に疲れてる女性、夢がある女性、そんな女性に読んで貰いたい一冊です。

シングルマザーの珊瑚、そしてその娘の雪の物語。珊瑚が子供を育てながら働いて生きることの難しさに直面しているところから物語は始まります。そこで出会うのが、くららというお祖母ちゃん。このお祖母ちゃんは元修道女で、作者の梨木さんっぽい登場人物。くららと出会うことでゆっくりと珊瑚の人生が動き出して、ついにはお惣菜屋さんを開業します。その過程での珊瑚のゆっくりとした心の動き。多くの女性が共感するんじゃないでしょうか。

途中で美知恵っていうとにかく性格の悪い女が登場するのですが、私は彼女のストレートな思い(というか悪意といっても良いかも)にもっとも共感してしまった。この女性は珊瑚に出会った先から敵意むき出し。とにかく性格が悪い。
それは「シングルマザーの何が偉い?」っていう本当にストレートな負の感情から来ているのだけど、そんな美知恵に対して馬鹿正直な潔さを感じた。隠そうとしない悪意。すごく良く言えば正直。
そんな美知恵の直截な悪意に晒された珊瑚はそこで初めて自分を客観視します。
わたしはこの物語ではこのシーンが一番好きです。

賛否両論だと思うけど、くららとの出会いで得たものが珊瑚の光だとしたら、対照的に美知恵との出会いで得たのは珊瑚自身の影の部分。でも嫌な出会いだからって本人に負の影響があるわけじゃありません。光と影、両方の自分を知ることで人は大きく成長できるんです。

地味な作品だけど色々考えさせられました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 女性におすすめ
感想投稿日 : 2013年1月31日
読了日 : 2013年1月30日
本棚登録日 : 2012年10月31日

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コメント 2件

nico314さんのコメント
2013/02/01

kanakoyoshidaさん、はじめまして。
フォローありがとうございます。

>賛否両論だと思うけど、くららとの出会い で得たものが珊瑚の光だとしたら、対照的 に美知恵との出会いで得たのは珊瑚自身の 影の部分。でも嫌な出会いだからって本人 に負の影響があるわけじゃありません。光 と影、両方の自分を知ることで人は大きく 成長できるんです。

そうですね。
確かに、関係の良好な人だけと暮らしていけたらよいけれど、現実には難しい。
本人が良い人だからこそ、却って妬まれてしまうこともありますよね。

美知恵はなぜあのような行動に出たのか、説明はなかったけれど、彼女に強い負の感情を起こさせた原因がとても気になりました。
現実にもわけもわからず不条理な行動をとられることもありますし・・。

cecilさんのコメント
2013/02/04

>nico314さん

おおお!こちらこそフォロー有難うございます!
そしてコメントまでいただいてしまって本当に嬉しいです。

そういえば美知恵については詳しく書かれていませんでしたね。美知恵の背景にどんな出来事や感情があるのか気になってきてしまいました。ぜひ美知恵を主人公にスピンオフ作品を出してほしいですねw
私は小説とかだとよくヒールに注目してしまいます。あと悪人が主人公の暗めの小説とかも嫌いじゃないです。
ヒールの思考や感情に興味深々です。

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