今年は目論見よりも全然源氏本が読めなかったので、年末最後にせめて山本淳子さんの本で締めたいと思い手に取りました。
この本は紫式部のひとり語りの体裁をとりつつ、源氏物語を書くに至った心境や背景などが丁寧に描かれた一応小説、なのかな?
私自身は式部日記は読んだことがあるけれど(もちろん訳本)、式部集は読んだことがなかったし、その他引用されていた御堂関白日記などは存在さえ知らなかったから、それらの資料を総括し再構築してくれたことで、より紫式部という人間が理解出来たような気がしました。
特に嬉しかったのは、清少納言が定子を心酔しまくっていたのに対し、式部はそれほどではないと思っていたものが、この本を読んで式部も彰子のことを敬愛していたことが感じらたことです。
引っ込み思案なのに自意識が高く尊大で根暗、という私のイメージはそのままに(笑)、世の理不尽さ、身の扱いづらさ、心のつながり、などについて語られたことで、自身の経験が彼女の感受性の高さゆえ源氏物語という作品になっていったんだなあーということが分かり、しみじみしました。そこに彰子への愛も感じられたのが嬉しかった。
あとは、漢詩の素養を生かした作中のエピソードなどは知らなかったことばかりで深読みできた気分です。
やっぱり山本淳子さんは分かりやすい、すごいね!
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
古典
- 感想投稿日 : 2016年12月30日
- 読了日 : 2016年12月30日
- 本棚登録日 : 2016年12月30日
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