タイトルの印象をいい意味で裏切ってくれた。
著者はグローバルな時代の流れから、古きよき日本、農村部などに見られる「安心社会」から都市型(西欧型)の「信頼社会」へとシフトしている、と書いている。「安心」という言葉が物語っているとおり、そこには落ち着きがあるが、安心社会は決して人達の信頼の上になっているわけではない、と説いている。説得力はあるが、完璧に同意しづらい部分もあった。
納得できる部分としてはやはり、日本人らしさに代表される、以心伝心的なものは、そのほうが得だ、という利己主義の上に成り立っているということ。
そして、あまりに教育に頼ると、時代の流れによってはイデオロギーになってしまので、教育に期待を寄せすぎないこと。
その上で著者が言う「信頼社会」は浅はかなモラルではなく、「情けは人のためならず」社会だという。わかる。しかし、「なぜ消えた」かについてや、その信頼社会へのシフト方法はいまいち薄い感じがあった。
そして、著者が言う社会感に生理的無理がある人ははじかれてしまうのか、との問いもある。
しかし、目指す方向性としては好き。「情けは人のためならず」社会がいい。
そういった意味ではこの本は、日本社会関係が停滞している今、読む価値があるのではないかな。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年1月6日
- 読了日 : 2015年1月6日
- 本棚登録日 : 2015年1月6日
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