女性論、文学論として忘れたくない一冊。
5章までは意識の流れ的に思索の過程がつづられ、6章でまとめての見解が述べられる。
著者はすぐれた精神は両性具有であること、そして人の心に伝わり、人の色々な想念を生み出し、色々な能力を呼び覚ます文学(精神の系譜?)には、精神の男性的部分と女性部分の共同作業がかかせない、と述べる。
作家とは〈現実〉を見据え、収集して読者に提示する方法を主にとるので、女性も収入を持ち、自分の部屋を持って〈現実〉を見据えるように。作家でなくても〈現実〉は人生を活力あるものにする、と述べる。ウルフ自身は親戚からの遺産収入があった。
個々人の生でなく女性全体の生を考えるなら、現在の女性のがんばりにより、将来の女性の未來は明るい、と著者は希望を持ち、具体的アドバイスもしている。
跳躍することだけを考えてね。
何より自分自身でいることが大切。自分のヴィジョンを少しでも変更してはいけない。
子供はたくさん持たなくていい。
この本が書かれて一世紀近いが、事態は驚くほど変わっていない、特に日本では。妊娠、出産、育児をどのように個々人の生活、社会制度の中に組み入れていくのか。
自分だけの経験に終わらず、現在の女性たちが連帯して未来の女性たちのために取り組まないと、女性の未来を変えることはできないのではないだろうか!
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年2月1日
- 読了日 : 2016年1月15日
- 本棚登録日 : 2016年1月15日
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