壮大なことは確かかな。主人公たちがあちこち動き回って、いちいち細かな風景描写があって、特にあまり馴染みのない東欧の風景や暮らしは興味深い。オスマン帝国についてもほとんど全くといっていいほど何も知らなかったから、この本読みながら途中で(2ヶ月もちまちまと読んでいたので)オスマン帝国についての本を読んだりもして、少し勉強になった。「串刺し公ドラキュラ」の史実についても、オスマン帝国によく抵抗したワラキアの領主としての姿が肉厚に描かれていたし。
ただ、肝心の中心ストーリーはどうなのよ?という感じがする。なるほど、ドラキュラは吸血鬼だよね、そりゃあ。で、その肥大したエゴの満足のために歴史家をさらう? 世界中を、歴史中を走り回って?それでヘレンは20年近くもの歳月を家族と人生を無駄にしてただドラキュラを追って過ごしていただけだと? うーん。
人物描写も風景描写も悪くない。悪くないんだけど、何か小説として肝心な所が足りてない感じがした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
所有
- 感想投稿日 : 2018年12月10日
- 読了日 : 2006年11月7日
- 本棚登録日 : 2018年12月2日
みんなの感想をみる