どんな文学に疎い人でも、大正の大文豪・芥川龍之介の名前を聞いたことがない人はそうそういないでしょう。今回紹介する「おぎん」の作者でもある芥川龍之介は、1892年に現在の中央区明石町で生まれる。1915年には代表作「羅生門」を発表。同年、夏目漱石門下に入り、『鼻』が漱石に絶賛される。1916年大学を卒業後、多くの短編小説を次々に発表。
江戸時代初期、禁教令が発布され、隠れキリシタンは発見次第、火刑に処されていた
仏教徒の両親と死に別れ、隠れキリシタン夫婦の養子となったおぎん。信教がばれて火炙りの刑を言い渡される。
この世で人間として生きている限り、自分の力ではどうしようもないことがある。そのうちの一つが“死”である。そして、生きている限り死んでしまったらどうなるか分からないものだ。天国か地獄かも分からない。とすると、生きている人間が取るべき態度は何なのか。キリスト教を守り通して天国へ行くか。宗教を捨てて生き延び地獄へ行くか。信教心と家族の繋がりとでのせめぎ合いがこの作品では描かれている。人間の本質をついた痺れる作品となっている。また、締めの一節に注目してほしい。
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- 感想投稿日 : 2020年10月19日
- 読了日 : 2020年10月19日
- 本棚登録日 : 2020年10月19日
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