星の子

3.26
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本棚登録 : 1839
レビュー : 282
著者 :
ありんこゆういちさん  未設定  読み終わった 

主人公・林ちひろは中学3年生。
出生直後から病弱だったちひろを救いたい一心で、
両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、
その信仰は少しずつ家族を崩壊させていく。
第39回 野間文芸新人賞受賞作。


不思議な小説でほんのりとしたおかしみに包んでいますので、想像していたような重苦しさが無かったです。僕的にはタッチが川上弘美さんのような寓話めいたものに感じられました。そのまま受け止めるとしたらよく分からない話ではあるのですが、親子の愛はふんだんにあって、友達も居て自分の考えもしっかり持った天真爛漫と言ってもいい主人公です。こういった話であれば悲壮感を軸足に置いて、少女が親から独立していく姿を描きそうなものですが、あっけらかんとしたこの少女には周りの心配も届かないのです。

さて、この本の趣旨はなんなのか?という所に話が及ぶ所ですが、私はそう話が苦手。基本楽しむために読んでいるので難しいこと考えずにのめり込むのが好き。
でもこの本は文学的とはいえそんなにしかめっ面して読まなくても楽しめます。
ちょっと前に流行った「コンビニ人間」は主人公が自分が生きていくためにコンビニを自らの神殿として、自分が巫女としてコンビニに尽くし、輝いていく現代の寓話として読みましたが、この本の主人公ちひろは初めから世界に愛されているという自信を感じられます。彼女は親と一緒に宗教を実践していますが、そこに救いを求めているのではなくて、彼女にとって、そこにすでに有ったものなのではないかと思いました。これは世界的に見て、生まれた時から何らかの宗教に関わる世界の大多数の人に近い感情ではないかと思います。
そう考えると親が子供と別れたくないという感情は、はばかられるものではなく自然なものだと思います。でも読んでいると少女を何とか抜けさせようとする常識的な親類の方に肩入れしてしまいます。ジレンマです。

この本を最後まで読んだ人はラストシーンの印象が、奇矯な両親に縛られたかわいそうな女の子と見る、目が覚めた少女が親から旅立っていく予兆の両方を感じるでしょう。
でも恐らくこの少女はこの親を捨てる事はないような気がします。何故ならばこの両親の愛情は歪ではあってもとってもまっすぐに少女をに向かっているからです。

ちなみに途中途中けっこう剽軽な話が出てきますので、普通に笑える本としても僕は評価します。

レビュー投稿日
2018年3月7日
読了日
2018年3月7日
本棚登録日
2018年3月7日
5
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