風花 (講談社文庫)

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本棚登録 : 77
レビュー : 13
著者 :
ありんこゆういちさん  未設定  読み終わった 

多分読むのは3回目です。とても好きな本なので正当な評価かどうかは分かりません。でも好き。


廉司は外資系の会社で働いている。
同期は情け容赦無く首が切られ、とうとう自分の番が来た。
送別会で自棄になり痛飲。記憶を無くした。

翌日、知らない部屋で目が覚めると見覚えのない女が隣に寝ている。
脱色を繰り返した赤茶けた髪。衰えた肌。目尻のしわ。薄い体。
自分よりも年上の様だがどれもこれも見覚えが無い。

戸惑っていると、彼女は自分と何度も会った事が有ると言う。

彼は気が付く。彼女は廉司が数か月に1回欲望を吐き出すために通ったピンクサロン「ジューシーフルーツ」のレモンだったのだ。

彼は泥酔し店に行き彼女の前で潰れてしまったのだ。
しかも彼女を北海道へ連れて行くと約束までしてしまったという。
廉司は乗り気ではなかったが、卑怯者になりたくないが為に北海道に共に旅立った。

北海道は広く美しかった。
襟裳岬で終わるはずの旅だったが、別れたくない2人は旅を続ける事にした。
ギクシャクした旅路の中時間を過ごす内、失業により傷ついた廉司の心にレモンの優しさが染み込み癒されていく。
そしてレモンは今まで誰にも語らなかった過去を廉司に語り始めたのであった・・・。


この話とってもとっても好きで。時折取出して読むのですがその度に胸に温かい滴を落としているような気持になります。

レモンがとても献身的で可愛らしく、彼女は学は無いのですが、子供の頃から読書だけが楽しみで、とても色々な事を知っています。
しかし寒々しい過去の為、自信が失われていて、やせっぽっちで体も衰え始めていて・・・。

それなりの大学を出ているのに何も関心を持たずだらだらと生きてきた廉司は、彼女と過ごすことによって自分を取り戻して行きます。

全く違った生き方をしてきた2人は深くお互いを必要としていくのでありました。

レビュー投稿日
2015年9月21日
読了日
2015年6月12日
本棚登録日
2015年9月17日
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