本と鍵の季節

著者 :
  • 集英社 (2018年12月14日発売)
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感想 : 580
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作品紹介・あらすじ
堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門(しもん)と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。
そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが……。
放課後の図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生ふたりが挑む全六編。
爽やかでほんのりビターな米澤穂信の図書室ミステリ、開幕!

がっつり図書館が舞台なので読んでいて楽しいという所と、やはり書いている人が書いている人なので、青春チックなのに結構シビアな内容なのも個人的には好き。他の本がそんなに好みではなかった事も有って期待していなかったのですが、米澤さんの読んだ本(大して読んでいないですが)の中で一番好みでありました。
男同士でぶっきらぼう、且つ、お互いを必要としている所がなんとなく腐女子の人達が好きそうな感じだなあ。さりげなく親友って感じが出ていて微笑ましい。

学生生活の中で起こるちょっとした事件の謎解きも、神のような洞察ですいすいと解いていくのですが、文章が非常に端正で理知的なので妙に説得力があります。ミステリーが苦手で突っ込みの嵐になり気味な僕のようなミステリービギナーにもアピールする力が有る本です。
友情が有れども、牛乳に落した墨汁のようなほんのりとした猜疑心が感じられて、嫌な感じが残る辺りが何とも味わい深い。大分好みです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年5月30日
読了日 : 2019年5月29日
本棚登録日 : 2019年5月29日

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