i(アイ)

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本棚登録 : 3222
レビュー : 363
著者 :
ありんこゆういちさん  未設定  読み終わった 

アイは存在しません。愛、私(I)、アイデンティティー、色々な意味を込めたアイ。
インナースペース、胡蝶の夢。古今東西あらゆる人が自分の存在を定義する為に頭を振り絞ってきましたが、追えば追うほど逃げていくような気がします。
複雑な出自の人が求める自我の拠り所がどれだけ重要なのかは、頭では理解しても心の中では他人事です。でも大概の人はそうではないでしょうか。
本書は世間で恵まれないと言われている人から見れば、金持ちの暇に飽かせた戯言であると一刀両断する事も出来る。でもそういう余裕が有るからこその足元の不安定感が有るのではないかと思いました。
自己で確立した以外の物は本来不当であると羞恥を覚えるというのは、考えとしては分かるし共感は難しくとも、そうなのかな?と想像する事は出来る。

アイちゃんがシリアという戦乱の地から、図らずも救い出され優しい両親の元で何不自由なく成長していく。選ばれなかったシリアの子供たちと自分、一体何がその明暗を分けたのか。何かが違っていたら彼らは自分だったかもしれないと考える心。それは前に読んだいとうせいこうさんの「国境なき医師団を見に行く」で彼が至った結論と酷似しています。それが純粋な共感から発生することか、自らの出自によって否応なしに開かれてしまう扉だったのかで、苦しみと共感に分かれてしまうと言うのが皮肉といえば皮肉です。

何のために生まれてきたのか悩み中の人にはクリティカルヒットするかもしれません。僕は悩んでいないので純粋に応援しながら読みました。

レビュー投稿日
2018年7月5日
読了日
2018年7月4日
本棚登録日
2018年7月4日
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