知らなかった。
敵討って、「肉親を殺した相手なら、殺しても罪に問わない」だけの、自由なものだと思っていたけど。
正式には敵討許可(もはや殺人許可)をお上にもらう制度だったとは。
一度制度申し込むと、敵討を果たすまでは元の仕事にも戻れず一生無職が続くとは。キャンセルきかないのか。
1人の人間を1人で追いかけてやっつけるなんぞ至難の業。
しかも後戻りできないから、相手が見つからず、金策が尽きて野垂れ死にした例も多かったとか。
「ここで会ったが100年目。恨みはらさでおくべきか!」という台詞も、肉親のためでも、自分のためでもあるわけで、実感がこもる。
それだけハードなら、様々な場面で話題になるし、美談として語られたり、演劇やらのテーマになるわけだ。
「敵討するぞ」と決めるには相当の覚悟が必要だ。
でも、怒りはもちろん、「え、お前なら敵討いくでしょ」という周りからのプレッシャーに押されて敵討の旅に出て、後悔した人も多かったのでは、と邪推。
前篇は江戸時代、後篇は明治時代の実際あった敵討の話。
後者はそんな殺人許可が出る世の中ではないから、懲役刑になるが、格好の新聞ネタとして世の話題をさらう。
少し話をひねったり、視点を変えたりすればいくらでもドラマチックになるし、前後を比較していろんな話ができそうだけど、
そんな香りを匂わせることもなく、淡々と話がおわる。吉村昭らしい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年1月24日
- 読了日 : 2012年1月18日
- 本棚登録日 : 2012年1月24日
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