本書は 映画「スーパーサイズ・ミー」の監督が自ら被験者となり、ファストフードの危険性を暴くノンフィクションです。彼のいうことを鵜呑みにはできませんが、投じたその一石は大きな波紋となったと思います。
本書は映画『スーパーサイズ・ミー』を手がけたモーガン・スパーロック監督自身が「人はファストフードのみで生きられるのか?」というなんとも馬鹿馬鹿しく、それでいて最も現代的な話題を更に深く掘り下げ、過食とファーストフードの関係を鋭く抉る問題作でございます。
内容を簡単に申しますと、映画の内容を再構成して、公開当時で間違って発信してしまったことを訂正したり、後日わかったことを付け加えられており、映画を見た後に本書をお読みいただけると「アメリカの病理」がよくわかり、ファストフードそのものとそれを取り巻く環境がよくわかります。僕はこれを読んで初めてわかりましたが、彼は今の奥さんであるアレクサンドラ・ジェイミソンの前に別な女性と結婚していたんですね。これには別な意味で衝撃を受けました。
アメリカ社会で重大な問題となっている「肥満」とそれをめぐる問題に皮肉とユーモアを交えながら鋭く切り込んでいくスパーロック監督のスタイルはここでも健在で、何度も読みながら爆笑しつつ、彼の行った「実験」のあまりの馬鹿馬鹿しさと真摯さとそれが提示した問題の大きさに日本も含めて世界中が賛否両論の大騒ぎになっていたことを思い出させました。
解説によると肉となる家畜の肥育環境が日本で使われているオーストラリア産のものと書くのも躊躇するアメリカのものでは違いがあるらしく、そういったことも考慮しなければいけません。さらには彼の映画にインスパイアされて「30日間マクドナルド生活」を敢行したマツモトケイジ氏をはじめとする「実験」レポートがウェブ上にありますので興味を持った方はそちらもぜひ参照されていただきたいのですが、彼の投じた一石が大きな波紋となって世界中を駆け巡った。そしてファストフードを食べるか食べないか?という選択肢は我々一人が考えなくてはいけない。そういった意味でとても読み応えのある一冊でございました。
- 感想投稿日 : 2013年5月15日
- 読了日 : 2013年5月15日
- 本棚登録日 : 2013年5月15日
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