国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

4.16
  • (259)
  • (236)
  • (116)
  • (14)
  • (5)
本棚登録 : 1751
レビュー : 211
著者 :
有坂汀さん  未設定  読み終わった 

「鈴木宗男事件」。その“断罪”の背後では、国家の大規模な路線転換が絶対矛盾を抱えながら進んでいた―。『国策捜査』とは歴史の転換点なんだ。という事がすごくよく分かりました。

筆者と検事との攻防も見所です。 先日この本を読み返していました。あまりの面白さにしばらくこの本に没頭してしまいました。この本を読むとなぜ堀江貴文が現在『別荘』の中にいる理由が少しだけ分かったような気がいたしました。内容は大きく分けて2つに分けられると思います。前半部は筆者が外交官として外務省に勤務し、鈴木宗男さんとともに北方領土を日本に返還されるために文字通り東奔西走していた時期。

後半に入る前に田中眞紀子さんとの一悶着を経て筆者が小菅の東京拘置所に収監され延べ512日間に及ぶ拘置、独房生活の末、第1審で下された判決は「懲役2年6カ月、執行猶予4年」。著者は即日控訴の手続きを取った。と言うまで。そして保釈後。と言う構成になっています。僕は前半部を読んで政治家としての鈴木宗男という人間が僕の中で変わっていくのを感じました。この記事を書いている現在、彼もまた『お勤め』の最中ですが、必ずまた表舞台に帰ってきていただけることを心から願っています。

僕がもっともこの本の中で引き込まれたのが拘置所の中で筆者と担当検察官である西村尚芳氏との息も詰まるような攻防の場面で、筆者をして『尊敬すべき敵』と言わしめるように、怒鳴ったり、ゆすったりしないで、あくまで誠実な態度で筆者に接し、なおかつ全人格、全存在をかけて筆者と『知恵比べ』の静かな戦いを繰り広げる姿にはサスペンス小説をワンシーンを見ているかのようでした。

詳しいことはここでは一切省きますが、それと同時に『検察官』と言う人間がどのような思考パターンを持っていて、なおかつ事件の組み立て方、そして、落としどころに持っていくまでのプロセス、と言うものがまことに詳細なまでにつづられていて、これを読んでいると、『国策操作』と言うもので個人が組織にかなわない、と言うことを知りつつ、検察に徹底的に最後まで争った堀江貴文氏が本来執行猶予付の判決になるにもかかわらず、ああして長い裁判を経て『お勤め』にはいるに至った経緯、もしくは裏の事情、と言うものが分かっただけでも、この本を読んだ価値がありました。

今後、僕らも『もしかすると』こういったものにかからない、とは限りませんので、もしそうなったときのため、そして純粋に国家と組織と個人。その関係を見つめる、と言う点でも、きっとこの本は役に立つと確信しております。

レビュー投稿日
2011年12月26日
読了日
2011年12月26日
本棚登録日
2010年11月6日
2
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて...』のレビューをもっとみる

『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)』に有坂汀さんがつけたタグ

いいね!してくれた人

ツイートする