
在日中国人社会を知り尽くす歌舞伎町案内人 李小牧×中国で最も有名な日本人コラムニスト 加藤嘉一。 ともに異郷で生きる二人が語りつくす日中論はすばらしいの一言です。
この本は『歌舞伎町案内人』こと李小牧さんと、北京大学で研究生活を送りながら、多彩な執筆活動をされている加藤嘉一 さんとによる、日中論を戦わせた対談です。非常にスリリングな本で、最後まであきさせませんでした。李小牧さんは中国から日本、新宿は歌舞伎町で案内人として、加藤嘉一さんは日本人でありながら、高校生のころに中国にわたって、互いに異国でサバイバルしてきた人間であるだけに、言葉の一つ一つにエッジが効いていて、読むものを幻惑させます。
しかし、決して肩肘の張ったものではなく案内人として歌舞伎町で体を張る李小牧さんの口からは中国料理などの食の話に始まって、ここで書くことをはばかられるような中国と日本の『男と女』の作法の違いで加藤氏を困惑させたと思えば、加藤氏は日中における外交・領土に関する問題について、日中の立場を踏まえた上で、鋭い論法で迫っていく。こういうものがもっとお互いの国の人間に読まれるとするならば、少しはお互いの国や人間に対する誤解が解けるのではないかと本気で考えています。そして李小牧さんが日本の若者を散々にこき下ろす場面は、やっぱり、真摯に受け止めなくてはならないなと、そして、彼が驚くぐらいもっともっと努力しなければならないなと、本気でそう思わせてくれました。ぜひ一読をしていただけるとうれしいです。
- レビュー投稿日
- 2011年12月1日
- 読了日
- 2011年12月1日
- 本棚登録日
- 2011年11月8日
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