日本電産(Nidec)の後継者選びは4人目の関氏が2022年9月に辞任したことで、またもや振り出しに戻った。永守氏のお眼鏡にかなわなかったからである。漏れ聞く科白は威勢の良いものが多く、一体どんな人なのだろうと、一冊読んでみることにした。
予想に反して(?)、至極まとも且つ情熱にあふれた、昭和の時代に一代で会社を築いた人が書きそうなビジネス書であった。奇をてらわず、基本に忠実に、諦めずに努力すること。現代においても十分に通用する考えだと思う。ただ、少しだけ自慢げないし自己陶酔の匂いがしたり、現代では通用しないモーレツ行動(洪水で避難命令が出たのにも関わらず現場死守を命じる等)も記述されていることは、冷静に差っ引いて読む必要があるだろう。(本人も現代にはそぐわないと認識していることは幸いである)
また、昔ながらの教訓に加え、これからはEQ(心の知能指数、共感力)が大事だと考察しているところは、なるほど昭和で思考停止せずアップデートしてそうだと感じた。
概して、基本を忠実に、熱く書かれた本であった。多くのビジネス書が発行されているが、ここまでの熱量でもって書かれたものは、最近では珍しいように思う。書かれている事を丸のまま飲み込むと火傷をする箇所もあるが、難解な話は少ないので、若者向けないし基礎の振り返りとして、おすすめ出来る一冊である。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
実用書(ビジネス)
- 感想投稿日 : 2022年9月29日
- 読了日 : 2022年9月29日
- 本棚登録日 : 2022年9月29日
みんなの感想をみる