デミアン (岩波文庫 赤435-5)

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本棚登録 : 815
レビュー : 100
制作 : 実吉捷郎 
ashisasさん 小説(外国作家)   読み終わった 

ヘッセの小説は『車輪の下』が最初で、やたらと暗い(でも思春期の子どもの葛藤や心理の描写が非常に秀逸)と感じたんですが、この『デミアン』もそれに負けず劣らず。

厳格なキリスト教の教義の中で育てられた少年が主人公で、彼は最初は「宗教的に許されている、愛情と厳格、模範と訓練によって秩序立てられた、両親の暮らす『自分の馴染みの世界』」に生きています。が、ちょっとした嘘をついたことから、彼は「怪談と醜聞、悪臭のする『悪の道の世界』」に足を踏み入れてしまい、これまで正しい道に導いてくれていた人を欺くことへの罪悪感や疎外感、孤独感に苛まれながら生きていくことになります。

そんな中で、彼の人生と精神に大きな影響を及ぼしていくデミアンという少年に出会い、主人公の世界と信仰は徐々に変化していきます。時折、聖書のエピソードをデミアンなりに大胆に解釈していたりするんですが、このあたりについては聖書についての初歩的な知識がないと、読んでいても何が何やら、となってしまうかもしれません。その点、キリスト教についての基礎的な体力がないと読み進めるのがちょっと辛いかな。

人が生きる上での矛盾にどのように対処したら良いのか、思春期の子どもの視点と思考を借りて表現した小説とも言えます。さくさく読めるわけではないですが、立ち止まり、考えさせられながら読める小説です。

レビュー投稿日
2016年7月6日
読了日
2016年5月16日
本棚登録日
2016年7月6日
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