虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

3.78
  • (111)
  • (142)
  • (123)
  • (29)
  • (7)
本棚登録 : 811
レビュー : 162
著者 :
葦書房さん 本(著者名あ行)   読み終わった 

▼第一部の時点で、傑作だというのは確定的に明らか。やばい。超ドキドキする。血が沸騰する。何これ!
▼読了。…………血が沸騰すると思って読み出したのに、最後で血が凍りついた。第三部くらいから、「あ、命と愛の話なのかしら」と思い込んじゃったのが痛恨のミスだった。セカイ系だと思ってたものがその……決断主義だったみたいな。第五部以降、たった50ページ程度のひっくり返しっぷりにびびった。寒気が止まらない。
▼「人が自由だというのは、みずから選んで自由を捨てることができるからなの」。イメージに残って序盤、しるしをつけて読んでたんだけど、最後のアレを読んでから思い返すと……うそ寒い。
▼こんな『覚悟』を、果たして人はすべきなんだろうか。主人公は、母親を殺すか殺さないかの二択を選んだ時とまったく同じことをしていないだろうか。つまり、思考停止。二択を受け入れた時点で、他の選択肢を消去していたことは考えられないだろうか。もっと別の方法はなかったのだろうか……いや、物語そのものよりも、この作家が何を言いたくてこの話を書いたのか、っていうことが、まずもって問題かもしれない。
▼この人は強く『覚悟しろ』と言っている。でも私は、それでいいのですか、と問う。この選択をして罪を被るくらいなら、私は何もしないことを選びたい。引用した台詞にならうのなら、責任だって、背負わない自由がある。『覚悟しない』自由や、虐殺の器官を捨てる自由が。でも『覚悟しない』を選ぶことで、捨てる自由ってなんだろう。そんなことを考えた。
▼きっといつか、誰かが収まる棺の中にこの本も一緒に入るだろうと思う。それくらい、影響力のある小説。(09/4/2読了)

レビュー投稿日
2009年3月30日
読了日
2009年3月30日
本棚登録日
2009年3月30日
1
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレ...』のレビューをもっとみる

『虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

いいね!してくれた人

ツイートする