新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)

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本棚登録 : 9234
レビュー : 889
著者 :
ヨッシーさん 小説   読み終わった 

誰でも聞いたことがある、けど読んでる人は少ないよねってこないだテレビでやってたので買いました。宮沢賢治の作品は学生時代に授業で触れたオツベルと象、永訣の朝、やまなしくらいだったけど、この一冊を通じて宮沢賢治という人がとんでもないロマンチストなのだと思い知らされた。
作者に対する漠然とした印象として、ネガティブで繊細な人なんだろうな、というイメージがあったんだけど、その孤独によって育まれた想像力がこれだけの作品を生み出す力になっているんだろうなと。
双子の星の話や陽気なカエルの話、自分が好きなバンドのamazarashiが歌詞で使ってるシグナルとシグナレスの話などを楽しみながらたどり着いた目的の表題作品「銀河鉄道の夜」は、まさしくタイトルの通り、美しく切なく燦然と輝く星空をそのまま物語に閉じこめたような傑作。かつて自分が幼い頃に持っていたはずの、今はすっかり枯れてしまったような、文章を通じて無限に想像を膨らませることの楽しさを思い出させてくれた気がして泣きそうになってしまった。二段ベッドの下に弟が、上に自分が横になり、マンションの3階の窓から見える夜景を毎晩眺めながら、その夜空を飛び回る妄想をして眠りに就いていたころが懐かしい。
ちょっと上に書いたamazarashiの「スターライト」という曲が、まさに銀河鉄道の夜を意識して作られた曲になっているので、読んでいる間に何度も頭の中で流れてきた。それはある意味純粋な姿勢で作品と向き合えなかったことになるわけだけども、自分にとってはそれが付加価値となることで、いっそう特別な物語として心に刻まれた。幸福とは何か…それを考え続けることが生きることなのだとしたら、自分はこれからも創作を通じて死ぬまで生きていきたい。その道中で流れる涙は通り過ぎる駅だ。

レビュー投稿日
2018年12月16日
読了日
2018年12月16日
本棚登録日
2018年12月16日
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