禅の考え方に興味を持っていた矢先、かわいらしいポップな装丁と、軽々しい(笑)タイトルに目が行き、図書館で借りる。
中身は、仏教に興味を持つ筆者と、禅宗・浄土宗など宗派も色々なお坊さんとの対談。
どなたがおっしゃっていたか覚えていないけれど、大体共通した考え方としてあったのは、
・仏教とは、生きるのを楽にする考え方を身に着けるもの。宗教というよりも日常の在り方(だから、禅センターでもカトリックの方がトレーニングしにきたりする)
・生きていることそのものが仏。欲にまみれているのは泥仏。
・川の流れのように、常に流れていること、変化することが大事。一つところにとどまっては、流れが澱んでしまう。
・ライオンでさえ、お腹いっぱいだと目の前に獲物がいても襲わない。一方の人間は、他の動物と違って、生存に必要なこと以上の「余計なこと」をするようにプログラムされている。
・大事なのは、欲を捨てることではなく、今欲をもってるな…と、自分の心の動きに気づくこと。
・最初から欲とか私を滅するような無とか意識しても、なかなかできないけど、一度悩んだり厳しく向き合った後に「仮有」になる。(無がベースとなり、仮に欲や私がある状態)
ざっくりとだけど、禅は、無とか空を意識して、私をなくす状況に、各々いけたらいいね、ってちょっと突き放した感じだけど、浄土宗はお念仏さえ唱えたら浄土にいけますよ、と、包み込むような感じなんですね。
全然違うな~と思いつつ、寛容さというざっくりした概念レベルでは共通しているのかな。
なんでもいいじゃん!という姿勢、争わなくてもいい、最後は、あるがままを受け入れるのが良いね、というところ。
・思考の枠を取り払うこと。宗派や在家・出家の区別(往々にして出家して修行した人の方がえらいと思ってしまう)というのも、一種の枠。
タイトルも軽々しいし、読みやすいけど、心が温まる。
・喜びも、悲しみも、根っこは一緒。何もないという点で。勝手にそう感じ取っているだけだから。過去ではなく、今の一瞬一瞬を大事にしながら生きればよい。過去の喜びも忘れるのが良い。そうしたら、一瞬一瞬、ありがたいなぁと噛みしめていきられるじゃない。
みたいなくだりが好き。
ついでに言うと、この本には、宗教のイメージっぽい超常現象を強調する人は誰もいなかったし、「~すべき」という人もいなかった。
宗教界の権威を振りかざす方もおらず、あくまで謙虚に、生き方について語って頂いていたのが、とても心地よかったと思う。
- 感想投稿日 : 2018年12月1日
- 読了日 : 2018年11月30日
- 本棚登録日 : 2018年12月1日
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