思ったよりバラエティに富んだ論集で面白かった。特に林香里の「公共放送としてのNHKの位置価」は、視聴者第一主義を掲げたNHKの公共性の行方を問うていて興味深い。他では各所でミル「自由論」が引用されていて、また読みたくなる。
でも一番気になるのは安藤馨「功利主義と自由」。「自律した個人」や「自由」といった近代的フィクションに本質的価値を認めず、統治理論としての功利主義の立場から、統治者と被治者の相互監視社会こそが幸福を最大化すると主張する。理屈はわかるし反論もできないが、納得もできない。
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- 感想投稿日 : 2010年8月7日
- 読了日 : 2010年8月5日
- 本棚登録日 : 2010年8月7日
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