ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来

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本棚登録 : 1467
レビュー : 147
制作 : 柴田裕之 
atsushi1224さん  未設定  読み終わった 

上下巻合わせたレビューを。
上巻に関して言えば、「サピエンス全史」と内容/主張が重複する部分も多かったが、サピエンス全史でこれまでホモサピエンスが辿ってきた歴史、経験した認知革命・農業革命・科学革命を経て変遷してきた人間の価値観について説明し、その結びの章として、これまでの変遷を踏まえた上で現在世界を支配している人間至上主義がどの様に変わっていくか?という問題提起を受けた、続巻に近い位置づけとなっているので致し方ない部分もあるのかもしれない。

本書は科学革命を経て神に追いついて、それまで災いとされていた飢饉/疫病/戦争を克服したサピエンスが今後どこに向かうのか?という問題提起に対して、今後は①不老不死、②幸福、③神へのアップグレードにに向かうのではないかという一つの考え方・オプションを提示している(未来を予測するのではなく、ひとつの考え方を示しているというのがポイント。このオピニオンを聞いたうえで、各々が自分の価値観と照らし合わせて考えることで、未来が変わる事を筆者は否定しないどころか肯定さえしている)。

筆者は現代の便利なテクノロジーを否定はしていない。していない前提でそれでも、「ヒトは力と引き換えに意味を放棄した」としている。神が万人の心の中に存在し、宗教が世界を支配していた中世までは、神や聖書が絶対で、全ては壮大な宇宙の構想の中で決まっていた。ところが科学革命により、人は神や宗教ではなく知的好奇心に従い、未知の領域を開拓した結果、神と並び、神を信じる宗教ではなく人間至上主義を崇拝する様になった。

この新しい宗教は全世界に浸透して18世紀以降世界を支配しているが、一つの可能性として「データ主義」が台頭するのでは、というのが筆者の意見。コンピューター工学とバイオテクノロジーの融合が進み、生物は全てアルゴリズムであり、人間中心からデータ中心になる。データ教で何よりも大事なのは「情報の流れ」であり、ネットワークが自分について自身よりも知っている時代が到来し、ネットワークと繋がっていないことがあり得ないと考えるようになる。

大胆な構想だが、現在インスタグラムやFacebook等に固執するあまりに我を見失うティーンエイジャーを見ているとなるほどなと思う。

本の締めとして、①本当に生物はアルゴリズムであり、生命はデータ処理なのか?②知識と意識は分離しつつあるがより価値があるのはどちらなのか?③アルゴリズムがよりヒトを知るようになると何が起こるのか?と問題提起しており、将来我々が大事にすべき価値観について改めて考えさせられた。

レビュー投稿日
2019年1月17日
読了日
2019年1月15日
本棚登録日
2018年10月16日
2
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