invert II 覗き窓の死角

著者 :
  • 講談社 (2022年9月14日発売)
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本棚登録 : 4815
感想 : 425
5

推し★5 今回は鬼カワだけじゃない! 新しい城塚翡翠に会いに行こう #invert2 #城塚翡翠

可愛いすぎて尊い…
はぁ… 先生はとんでもないキャラクターを作り上げましたよね。
本書で一番光っているのは、やはり翡翠です。

やたら可愛い、そして憎たらしい。
そんな彼女も本作ではひとつ大人になる。一番の読みどころですね。

もちろん他の登場人物、真や犯人役、警察の面々などキャラクター付けが上手い。
セリフ回しやエピソードなどでわかりやすく派手目に書かれているので、目の前にキャラがすぐに浮かんできます。

トリックとしても一筋縄ではいかず、想像力と推理力が必要で決して簡単ではないです。真相を読み解く楽しさも高水準の作品でした。
城塚翡翠シリーズはエンタメ倒叙ミステリーとして完成しましたね。

■生者の言伝
面白い!
主人公の少年のキャラや背景、プロットがよく練りこまれていて素晴らしい出来。
翡翠、真、少年の思惑や情念が微妙にずれているところが面白すぎる。

様々な展開が待ち受けていますが、それでも明日への一歩を踏み出せるようなラストが大好きな作品です。なんとなく一作目を思い出してしまう本作、短編でもじっくり味わうことをおすすめします。

■覗き窓の死角
泣いた。
翡翠シリーズで初めての感覚。
今までのエンタメミステリーから一皮むけた進化が味わえる作品です。

相変わらず翡翠と真のやんちゃなやり取りに笑ってしまいます。翡翠を自由に踊らせてあげている真の優しさが素敵ですね。

さて本作の一番の読みどころは、翡翠の信念と犯人の信念。
お互いの戦いだけでなく、自分自身の葛藤とも戦っている描写が、読んでいて息苦しかったです。

成長していく翡翠をみていると、幸せになってほしいな…と、親戚のおじさんの気持ちになってしまうような作品でした。

■推しポイント
古畑任三郎シリーズの大ファンなんですが、その中でも一番好きなエピソードは第一話 小石川ちなみ(中森明菜)のお話です。

ダイイングメッセージがテーマで、紙には何も書かれていないにも関わらず、犯人をズバリ当ててしまいます。本格ミステリーファンも唸らせる、鮮やかな解法がお見事なお話。

『生者の言伝』では、このエピソードのオマージュがいっぱい入っています。
冒頭の車内での二人のやりとりや、翡翠が少年に投げかけるセリフなど。相沢先生の遊び心が、読んでいて嬉しくなりました。

TVドラマでは古畑任三郎やコロンボ、小説では碓氷優佳、福家警部補のように、末永く倒叙シリーズを書き続けてほしいです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2022年9月22日
読了日 : 2022年9月21日
本棚登録日 : 2022年9月21日

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