── 芥川の文章は彫心鏤骨、一行書くごとに呻吟した。不眠症は昂じ、
宿痾(しゅくあ)の痔疾はすすんで、さなきだに痩身が幽鬼のごとくに
なる。かくては志賀の、思ったとおりをそのまま書く作家(志賀がほと
んど一ページごとに「愉快だった」「不愉快だった」という語を平気で
くりかえすのをみよ。武者小路実篤も同様)に羨望を感じるのである。
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4101109656
── 松本 清張《過ぎゆく日暦(カレンダー)19930425 新潮文庫》P57
── 当時“小説の神様”である志賀直哉の文章作法が理想とされていて、
金谷先生に借りた波多野完治《文章心理学》で、たとえば《源氏物語》
に用いられる品詞の頻度回数などという研究手法があることを知った。
しかし神様でさえも、無頓着に同じ言葉を繰り返している部分があり、
情景描写は(いくら説明しても伝わらないので)ほとんど無用ではない
か。考えた順序どおりに書けば冗漫になる、それなら読む順序にそって
書くべきではないか。ふだんから書くように話すべきではないか。
── 《虚々日々 20001224 阿波文庫》P43 客太郎(Day'19990626)
http://q.hatena.ne.jp/1228281209#a876625
生涯座右 ~ 三十年ごとの極めつけ三冊 ~
http://q.hatena.ne.jp/1099601647#a198066
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19930425
過ぎゆく日暦・目次
- 感想投稿日 : 2009年11月6日
- 読了日 : 2009年11月6日
- 本棚登録日 : 2009年11月6日
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