いち女子大生として、セックスとか性とかそういうものをテーマにしたもの、それを匂わせるタイトルのものを買うのには勇気がいる。(とかいいつつ衣良さんの「sex」を買っているからあれなんだけど。)でも、恥ずかしいとかそんな理由でこの本を読まないというのはもったいなさすぎる。他の作品にも通ずるところだけれど、衣良さんの性描写にはいやらしさがない。作品を通じて、どこまでも透明なのである。
売春や買春が孕むイケナイ匂い。社会的にはそれはどこまでもイケナイことだ、と教えられてきたわたしは今まで疑うことなしに体を売り買いすることの悪を信じていた。けれどこの作品を読んでいる間、セックスを商品とすることがイケナイことではなく、寧ろ素敵なことのようにさえ思えた。本を閉じてしまえばやっぱり売春は悪なのだけれど。官能的ではなく、どこまでも透明な作品に仕上がったのはやっぱり衣良さんの成せる技なのではないだろうか。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年6月5日
- 読了日 : 2013年4月16日
- 本棚登録日 : 2013年4月16日
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