桐島、部活やめるってよ

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本棚登録 : 3923
レビュー : 932
著者 :
HNGSKさん 朝井リョウ   読み終わった 

 この作品は、朝井さんが20歳のときの発表した作品だというから驚きだ。20歳でこのボキャブラリーの多さには、舌を巻いてしまう。
 しかも、タイトルにばーんと出ている「桐島」くんが一度も登場しないままに物語が展開していくのも、斬新だった。アレっ、桐島、出てこんの!?みたいな。

 高校という、狭く小さな世界に生きる高校生たち。誰に教わったわけでもないのに、その世界にはいった瞬間から、彼らは「上」と「下」にランク付けされる。「上」の彼らは、制服をかっこよく着ていいし、髪の毛だって凝っていいし、大きな声で話していいし、行事でも騒いでいい。
 女子も男子も、「上」は上同士、「下」は下同士、固まって生きる。この決まりから逃れられる高校生は、いない。

 けれど、「上」にいるからといって、彼らが満たされているわけではない。「上」に所属する菊池宏樹は、自分のしたいことが分からずもがく。何をやってもそこそこできるがゆえに、本気でやって失敗することを恐れる。そして、やりたいことを本気で取り組んでいる「下」の前田涼也に光を見出す。

 この世界で、日本で、本当に思っていることを思ったように口にしている人なんて、きっと、いない。大人も子供も、きっと、いない。
 桐島は、きっと、いつか、バレー部に戻ってくるんだろう。そしてまた部活に精を出す。
 きっと大丈夫。思ったことは口に出せなくても、彼らは受けた傷をすぐに治す力を持っているのだから。
 
 だから、これからも手探りでいいから進んでいけばいい。そうして、大人になっていけばいい。

レビュー投稿日
2013年1月9日
読了日
2013年1月5日
本棚登録日
2013年1月9日
10
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