世界地図の下書き

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本棚登録 : 2473
レビュー : 395
著者 :
HNGSKさん 朝井リョウ   読み終わった 

 今回の朝井さんの作品の主人公は、小学生。今までは高校生とか大学生とかを主人公に持ってきていたから、新鮮だ。

 事故で両親を亡くし、引き取られた叔父の家で虐待を受けた太輔は児童自立支援施設で暮らすことになる。
 
 太輔の、「自分が何をしたところで何も変わらないこともあることを知っている」と思い至るシーンが印象的です。
 ああ、そうだった。小学生の頃なんて、思い通りに行くことなんて、何一つなかった。それが、すごくつらかったのに、どうして忘れていられたのか。。。
 いやいや、忘れていたわけではないのです。大人になった今、思い通りに行かないことがあまりにも日常で起きすぎていて、それが私たちの日常にしみこんでしまっていたんだ、と思うのです。だから、大人になった今は、少しくらい思い通りにいかないことがあったって、動じずにいられるんでしょう。慣れただけ。決して思い通りに行くことが増えたわけではない。
 そうやって私たちは、生きていくしかない。生き延びていくしかない。この作品を読んで、そう思いました。

 最後、の佐緒里のセリフも印象的。
「私たちは、絶対にまた私たちみたいに人に出会える」
人生は確かに思い通りに行かないけれど、あきらめてはいけない。希望を捨ててはいけない。そう感じさせられた。
 最後、号泣でした。

レビュー投稿日
2013年9月12日
読了日
2013年9月3日
本棚登録日
2013年9月12日
10
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