何者

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本棚登録 : 7967
レビュー : 1442
著者 :
HNGSKさん 朝井リョウ   読み終わった 

 第148回直木賞受賞作品。おめでとうございます。受賞前に図書館で予約しておいてよかった。

 自分ではない何者か、ここではないどこかに行きたい、けれど行けない就活真っ最中の大学生たちのお話。

 就活を経験したことのある者ならば、彼らの思いが分かると思う。
 お互いガンバローね、就活って団体戦だよって、言われた先から、俺が一番できる、お前らとは頭の出来が違うんだよって思うあたりとか。

 SNSに少しは身を置いている者ならば、彼らの思いが分かると思う。
 口では、すごいねーなんていいながら、もうひとつのツイッターアカウントでは、どろっどろの本音をぶちまけているあたりとか。
 ある日、ふとリツイートとか、お気に入りに登録、が入ったりするから、このアカウントのツイート見られたらやばい、と分かっているはずなのに、カギをかけられないあたりとか。

 みんな、フェイスブックで「いいね」をもらいたいし、ツイッターではフォロワーが欲しいし、ブクログでは、花丸をもらいたい(笑)
 私もそう、認められたい。

 そして、認められない現象には目を背けて、認めてくれない人は拒絶して、私を認めてくれる人とだけ仲良くしたい。
 ネットの世界ではそれができるけど、生身の世界では、そうはいかない。

 聞きたくない言葉を聞いて、痛くてカッコ悪い自分でがんばらないといけない。私たちは私たちであって、他の何者かには、生身の世界では、なれない。次の日も、その次の日も、自分は自分でしかない。

 けれど、認められたい。そのためには、理香が拓人に言ったとおり、拓人が面接で言ったとおり、カッコ悪い自分をまず認めるところから、始めるしかないんだろう。

 「自分には、何もありません」
これを言える人って、日本に何人いるのかなあ?

 最後に、拓人は、認める。
「自分は何者でもない」と。
そこから、彼の新しい物語が、始まっていくんだろう。

レビュー投稿日
2013年1月21日
読了日
2013年1月20日
本棚登録日
2013年1月21日
11
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『何者』のレビューへのコメント

nico314さん (2013年1月22日)

ayakoo80000さん

>そして、認められない現象には目を背けて、認めてくれない人は拒絶して、私を認めてくれる人とだけ仲良くしたい。
 ネットの世界ではそれができるけど、生身の世界では、そうはいかない。

確かにそうですよね。
認められたいと思えば、認められるような振る舞いをし、はたと気づくと本当の自分を隠していたり・・。
こういう気分から解放されたいと願いながら、結局人との関わりの中で自分というものが浮き彫りになるというか。

本好きの友人から、私にとって朝井くんは「好みではないのでは?」と言われて、手に取るのを避けていたところがありますが、大変気になりだしています。

HNGSKさん (2013年1月22日)

nicoさん>>正直に自分の気持ちを言うのと、気持ちをぐっと押しとどめるのと、どっちが偉いのか・・・これが朝井さんのテーマのような気がします。
って、まだそこまで読んでないのに、偉そうにいえませんが・・・
もしも、nicoさんが浅井さんを読む機会があれば、また私にも感想を聞かせてください。

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