昨日図書館で借りたこの本を読み終わって、気づいたら本屋でこの本を買っていた。
多分、この作品は私にとっての2012年上半期ベスト本になると思う・・・
箱根駅伝って、陸上のエリート中のエリートの、そのまた選ばれたエリートが走る場所だと思ってた。才能あふれるアスリート大学生がちょろっと努力して、そんでもってプレイしてる、そんなイメージだった。でも、そんな彼らだって、この10人のように、血を吐くくらいの努力をして辿りついた地なんだろうな。私は今まで間違った認識を持っていた。それに気づかされた。
個人的には、復路のユキ、ニコチャン、キングのくだりが一番泣けた。彼らはこの箱根駅伝を最後に長距離をおしまいにする。理由はそれぞれだけど、彼らは走りながらハイジや走や青竹荘の面々に感謝の意を表す。もう、そのくだりが泣けて泣けて・・・今思い出しても泣けるくらい・・・
ユキ(第6走者 山くだり区間)「走、お前はずいぶん、さびしい場所にいるんだね。今日でおしまい。だけど最初で最後にこのスピードを味わえてよかった。」
ニコチャン「走のように、選ばれ祝福されたランナーになりたいものだと、ニコチャンは心から願ったが、それは果たされるべくもない望みだ。でも、まあいいじゃねえか、とニコチャンは思う。選ばれなくても、走りを愛することはできる。抑えがたく愛しいと感じる心のありようは、走るという行為がはらむ孤独と自由に似て、ニコチャンの内に燦然と輝く。それを手に入れられたのだから。」
キング「俺は、こんなに、だれかと濃密に過ごせたと思ったことはなかった。一緒に、心から笑ったり怒ったりしたことはなかった。たぶんこれからもないだろう。ずっとあとになって、俺はきっと、この一年を懐かしく思い返す」
うつくしくきらきらした彼らと寄り添えて、私は本当に幸福だった。こんな私も、きらきらと永遠に輝く、とても大切なものを少しだけもらえたと思う。彼らと同じような思いを味わえるなら、それがたとえつらく苦しい日々であったとしても、耐えて乗り越える価値はあるのだと思える。
- 感想投稿日 : 2012年2月28日
- 本棚登録日 : 2012年2月24日
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