誰よりも狙われた男 (ハヤカワ・ノヴェルズ)

3.70
  • (2)
  • (12)
  • (4)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 73
レビュー : 8
制作 : 加賀山卓朗 
ayh1r0さん  未設定  読み終わった 

テロとの闘いについて描いた本は色々ありますが、この作品はスパイ小説として、その本質にどこよりも迫っているように思いました。

印象的だったのが、劇中の出来事の発端が20世紀に遡れるというプロットです。
イッサとブルー、それぞれの父親の世代が冷戦の終わりに行った後ろ暗い企みが、時を経て不意に明るみに出て、息子の世代を翻弄しています。
実際のテロも9.11も、21世紀に降って湧いたものではなく、その原因は前世紀にあります。イスラム圏に対して、先進国がやってきたこと。それが巡り巡って、次の世代を脅かしている。アブドゥラ博士がブルーと初めて会った時の会話が、そのことを象徴しています。

テロとの闘いというと、どうやってそれを収めるか、どうやって悪者を見つけるかということばかりが考えられがちですが(劇中のCIAのように)、この作品ではそれ以前に、「その災禍を招いたのは誰だったか」ということが常に頭にあるようです。

それだからこそ、あのラストシーンがより皮肉と悲しさを帯びて見えてきます。

レビュー投稿日
2014年10月23日
読了日
2014年10月22日
本棚登録日
2014年8月11日
0
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『誰よりも狙われた男 (ハヤカワ・ノヴェル...』のレビューをもっとみる

『誰よりも狙われた男 (ハヤカワ・ノヴェルズ)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。
ツイートする