月の裏側 (幻冬舎文庫)

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本棚登録 : 3710
レビュー : 431
著者 :
azzurro20さん 恩田陸   読み終わった 

なんという重厚な読み応え。
面白かった。

細かく分けられた章(チャプター)と、
章の冒頭で語られる正体不明(少しずつ特定可能になってくる)のモノローグが印象的。

最初は馴染みのない堀の街と多聞と協一郎という捉えどころのない不思議なキャラクターに警戒心がなかなか解けず、世界に入り込むのに時間がかかったけれど、
4割を超えたあたりから、少し怖いくらい箭納倉の街に入り込んでしまった。
そのあたりから面白さとともに、ゾクリと背筋が寒くなる緊張感がぐっと増し、却って休み休み現実の乾いた温かな空気を確認せずにはいられなくなった。
この時期に読んだのもある意味当たりだったのかもしれない。私の住む街には梅雨はないが、やはりこの時期雨が多く、読んでいる間に天気の悪い日が続くと現実感が時々わからなくなる。
最近久しぶりに恩田陸作品を読んでいる。
今作は初読。
けれど、この『月の裏側』を読んでやっと恩田さんの作風を思い出した、というか読んでいる時に受ける印象を思い出した。
そうだ、この感覚だ、と。
恩田作品は私の好きな他のどの作家とも全然違っていて、独自の不思議な世界観を持っている。
謎が多く、少し怖いホラー的な要素を持っていることも多い。
謎が謎のままで終わることもままあるが、
ほどんどの場合はそれでも良いような気がするから不思議だ。
”なんて言うのかな。この世の中には説明できないこと、説明しなくてもいいことがあるんじゃないかなって。”
そういうことなのだろう。
もちろん、その手法が”逃げ”のために使われてはいけないけれど、物語の深みを出すために利用されるのならば、アリということか。

先日再読した『Q&A』も、もう少しだけ全体像の輪郭がはっきりしていれば、もやもやを残すこともなかったかもしれないな。私見ではありますが。

レビュー投稿日
2015年7月18日
読了日
2015年7月18日
本棚登録日
2015年7月6日
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