寺田寅彦 科学者とあたま (STANDARD BOOKS)

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本棚登録 : 184
レビュー : 18
著者 :
よしこっこさん  未設定  読み終わった 

私が私淑している寺田寅彦の本。
この人の頭の中を一度覗いてみたい。この人が見てる景色を見てみたい。きっと全く違う世界が広がっているのだろうと思う。知識の量によって入ってくる情報の量が変わると聞くので、普通の人が何気なく見過ごしている日常の中でも寺田寅彦ほど博学な人は些細な物事から多くの発見をし、いろんな考えや思いが巡るのだろう。

特に「浅草紙」は私の大好きな話。1枚のありふれた浅草紙からエマーソンのシェークスピア論やラスキンの剽窃問題論が思い起こされ、人も紙も作りが同じであることに彼は気がつく。
「価値のある独創は他人に似ないという事ではない。」「最大の天才は最も負債の多い人である。」「どんな偉大な作家の傑作でも――むしろそういう人の作ほど豊富な文献上の材料が混入しているのは当然な事であった。」

全ての人はあらゆる他人から影響を受けて、その切れ端で自分が作られている。同じように浅草紙もいろんな家庭のゴミ箱から集められた古紙やぼろきれで作られている。
浅草紙のような荒い紙は原料となる古紙やぼろきれがよくこなされずに残っているが、原料をよく精選しよくこなしよく磨けば、きめ細やかで美しい上質な紙となる。
人間も、沢山の人からいろんな部分を貰い受け、不浄なものを取り除いてよくこなされていてはじめて“上質”な人と言えるのだろう。
他人の意見を切り貼りしただけじゃない、それをもっと細かくして他と混ぜ合わせてよくこなしてようやく自分の意見が出来上がるのだろうかと思った。

レビュー投稿日
2019年7月9日
読了日
2018年11月10日
本棚登録日
2018年11月4日
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